機動戦士ガンダムSEED
DESTINY REVENGE 第3クール
(PHASE27〜38)

PHASE27:届かぬ想い

あらすじ:ラクスは、小惑星群に隠されていたエターナルと無事合流。デュランダルは、彼女をあくまで偽者として追跡するよう指示を出す。
 その頃ミネルバでは、アスランとキラたちとの会談を密かに監視していたルナマリアが、その調査データをタリアへ提出していた。が、現在ラクスと思われている人物が実は偽者で、本物は何者かに命を狙われていたという件に関しては言い出せず、タリアの方もこれ以上の詮索はしなかった。
一方ステラは、エクステンデッドゆえに通常の治療を施せないまま、徐々に弱り始めていた。シンは彼女の様子を見つめながら、ただ歯噛みするしかない。
 一方連合のネオは、ミネルバの追跡・破壊をジブリールに改めて厳命され、再度オーブ軍と共闘することになる。通信を終えたジブリールに、傍らにある“博士”が今までの経過から進めてきた“F計画”と、それの基づき開発された新型重MSデストロイと、それに伴う新たなMS操作方法であるシナプス理論についての説明をしようとする。
その博士の回想にて、ロゴスの研究室にていよいよそのデストロイの開発に当たりフレイの肖像に敬礼をする博士をはじめとする研究員たちの姿が映される。
 キラとともにAAに帰還したミリアリア。チャンドラにディアッカのことを聞かれ、一言「ふっちゃった」とうそぶきつつ、AAのオペレーターとして復帰する。その際にマリューは予め用意した彼女の軍服とともにトールの妹フミコの手紙をミリアリアに渡す。着替えの際ミリアリアはその手紙の中で再び起こった戦争で、彼女とディアッカのことを心配している文言に感じ入るのだった。
 一方連合とオーブ軍は、当初の予定通りジブラルタルへ向けて発進したミネルバを、クレタ島付近で迎え撃つべく網を張り始める。
 その動きを察知したAA内では、合流したミリアリアを交えて、再び議論が持ち上がっていた。このまま見過ごせばオーブ軍は沈むだろう。しかし、戦場へ赴けばアスランと戦うことになるのだ。苦悩するカガリだが、キラの言葉に突き動かされ、再び戦場へ向かおうと決心する。すでにミネルバは、オーブ軍と激突していた。

アイキャッチ:ムラサメとバルトフェルト


・追加設定

フミコ=ケーニヒ:編者の創作キャラ。ミリアリアの亡き元彼、トールの妹でかつてAAがオーブに身を寄せたとき、急病で対面できなかったことに負い目を感じていたが、亡命時にカズイの彼女の弟と仲良くなり、彼が心の支えとなっていた。
後にオーブ帰国後も両親の手助けを進んでするようになる。
今でもミリアリアを実の姉のように慕っており、またミリアリアとザフト兵ディアッカの仲を理解している。今回再び戦争となったことについて、特に二人が戦い合うのではないかと心配している。ちなみに彼女自身、アラスカでのAAの事件のことは知らない。

“博士”:編者の創作キャラ。もともとはエクステンデッド研究施設で働いていたが、“シナプス理論”という独自のMS類操作理論を研究、自らの保身のためにMS開発計画“F計画”に参加。そこでアンリミテッドとその雛形ともいえるデストロイガンダムの開発に参加する。

F計画:この作品における地球連合軍(特にロゴス)の核エンジン、ドラグーンシステムとそれを運用した新型MS、MAの開発計画の総称。Fとはもちろんフレイの頭文字をとったものである。ちなみにアーモリーワン襲撃におけるガンダム奪取作戦も、そのF計画の一環であった。

シナプス理論:エクステンデッド研究の副産物としてMS操作における超効率化、かつ人的資源損失の極力防止を目指すことを建前に、操作中枢を人間の脳神経に着目。それをもとにMS等機動兵器の自動操縦、制御を目的としたAI等の開発を究極とする計画である。その第1弾として献体したエクステンデッドの脳神経を試作的に今後の機動兵器の操作に組み込もうということだが。

フレイ=アルスター:前作において、クルーゼの策略によりヤキン戦の直因となったNジャマーキャンセラーの資料をもたらしたことにより、今次の戦乱におけるF計画の象徴として祭り上げられる。ちなみに階級は中尉に昇進した(なおナタルは大佐に昇進)。


PHASE28:残る命、散る命

あらすじ:ミネルバは、クレタ沖でオーブ・地球連合の同盟軍と再度交戦する。地理的に不利な状況に追い込まれ苦戦するミネルバだが、アスランとシンはアビス、カオスに邪魔され援護できない。そのとき、再び現れたキラのフリーダムとアークエンジェルが、ミネルバの窮地を救う。しかしミネルバのタリアは、そんなAAを救援に駆けつけたと理解しながらも、AAをも敵艦と判断せざるを得なかった。
 カガリはストライクルージュを駆って、オーブ軍に停戦を呼びかけが、度重なるAAの介入に怒ったシンは、いきなりルージュを攻撃する。すかさずカガリを救ったキラは、入れ替わりシンと交戦する。止めようとするアスランだが、カオスとアビスの阻まれたままついに混戦状態に陥る。そのうちにSEEDを覚醒させたシンはアビスのコックピットにソードを突き刺してついに撃破する。
 同じくカオスの戦闘力を奪ったキラはアスランと激突。もはや求めるものは同じなのに再び戦わねばならない事体に断腸の思いを馳せながら、性能に劣るセイバーの戦闘不能に追い込み退ける。
 一方、ネオにせきたてられたユウナはトダカらにミネルバの追撃を命令。ミネルバへ迫るオーブのモビルスーツ部隊。その行く手を遮るカガリだが、すでに死ぬ覚悟を決めた彼らは説得に応じようとしない。彼らが次々と迎撃されていく様を、かつての父ウズミの理念を反芻させつつ、カガリは慟哭とともに見守るしかない。
 同じくその状況にトダカ一佐は、ユウナと部下を退艦させると、旗艦を前線へと向かわせた。鬼神の如き形相で艦隊を屠り続けていたシンは、目の前に現れた旗艦の艦橋にかつての恩人であるトダカの姿を目にする。毅然とした態度で敬礼を施すトダカにインパルスはソードを振り下ろし、タケミカヅチの爆発とともにシンは絶叫する。

アイキャッチ:ストライクルージュとカガリ


PHASE29:刹那の夢

あらすじ:アークエンジェルには、先の戦闘で生き残ったオーブの有志たちが合流を果たし、それと同時に数人の連合の兵士も紛れて投降してきた。彼らは反BC派の兵士で中には元ドミニオンの乗組員も含まれていた。
 ますトダカの今際の言葉をカガリに伝え、この船で改めてオーブの理念のために戦いたいというアマギらを、キラたちは暖かく迎える。
 次に連合の兵たちもAAに協力を約束、また戦争の終結はナタル、フレイの願いでもあると付け加える。その言葉にマリューとキラは深く感じ入る。しかしその後続けられた報せ〜これから起こりうる地球連合・BCの新型MSの運用計画にキラは打ちのめされる。そんな中、ミリアリアが重い口を開く。

 一方激戦を終えたミネルバは、ジブラルタルを目前にしながら、修理と補給のために足止めされていた。アスランは自らのセイバーを大破された上、その際のキラの言葉が胸に突き刺さり、さらにはステラに何もしてやれないことに苛立つシンにも当たられ、ただ苦悩するのみであった。
 そんな中、シンは偶然タリアと軍医の会話を聞いてしまい愕然とする。このままではステラは助からないし、仮に助かったとしても本国に引き渡され実験体扱いにされてしまうというのだ。ステラを救うには、ネオのいる地球軍へ返すしかない。レイの協力を得て彼女を連れ出したシンは、ガイアの識別コードを利用して地球軍と連絡を取り覆面の男ネオを呼び出す。
 夜明けの海岸で、対峙するシンとネオ。シンは「ステラを二度と戦場に近づけないと約束しろ」と要求し、ネオにステラを預ける。彼女へ貝殻の入った小瓶を手渡し、「俺を忘れないで」と言い残して、シンは立ち去った。あふれ出る涙を拭いながら。

アイキャッチ:ソードインパルスと私服姿のシン


PHASE30:明けない夜

あらすじ:アークエンジェルでは、カガリと元オーブ軍兵たちが、連合:ロゴスの暴走を抑えるべく決意を新たにしていた。一方でミリアリアから新型MSの運用計画、その根底にあるF計画の情報を聞き、キラは衝撃を受けていたのだ。
 同じ頃ミネルバにては、ステラを無断で引き渡したかどで、レイと共にミネルバの営倉に拘束された。本来銃殺刑レベルの軍規違反を犯したシンは自分の行動を正しいと頑なに信じ、タリアやアスランの言葉にも耳を貸そうとはしない。
 再びAA、キラはラクスとアスラン、それに件のF計画のことを思い一人苦悩する。沈み込む彼に、マリューは優しく声を掛け励ますのだった。
 変わって連合のネオは、ミネルバ追撃の任を解かれ、新たな命令を受けてベルリン方面へ向かった。それは計画に基づき、新型MSの運用実験を兼ねた侵攻作戦だったのだ。ネオは、シンとの約束を守れないことを不甲斐なく思いながらも、回復したステラにその巨大可変MS・デストロイガンダムを与え、新たな戦場へといざなうのだった。
 その後ミネルバでは、シンたちの処分が通達されていた。銃殺刑だけは避けたいと考えていたタリアであったが、もたらされた結果は一切不問。はじめこの裁定に軽く訝ったタリアは後にデュランダルが裏から手を回していたことに気付くと、憤慨の念を禁じえなかった。同じく釈放されたシンは増長し、アスランに対してもこれまで以上に不遜な態度を取り始めていた。
 そこに連合がベルリンへの侵攻を開始した報を、ミネルバ、AA両軍が受け、その戦場へと向かう。
 同じ頃オーブではサイが何かのレポートをまとめ上げようとしていた。彼もまた、F計画とそれによる新型MSの情報を知らされていた。その上で彼は脇の壁に飾られていたフレイの写真に向かい「大丈夫だよ、これ以上君を汚させない」とつぶやく。
 こうして、人類史上最大の悲劇の始まりとなった、ベルリン攻防戦が幕を上げる。

アイキャッチ:ブラストインパルスと操縦席のシン


PHASE31:蒔かれた種(原題:ステラ)

あらすじ:建物を次々と破壊し、逃げまどう人々を焼きながらベルリンへ侵攻を続けるデストロイ。その行く手を、駆け付けたフリーダムとアークエンジェルが遮る。しかしただでさえ圧倒的なデストロイの火力に加え、スティングやネオの援護まで加わり、さすがにキラだけでは太刀打ちできない。スティングら連合軍にはオーブのムラサメ部隊と共に、カガリはキラを援護するためルージュで出撃し、キラは戦端を開こうとする。そこへ現地のザフト支援のためミネルバが到着。出撃し猛然とデストロイへ斬り掛かるシンだが、そこへ割って入ったネオは、デストロイに乗っているのがステラだと告げる。その言葉に愕然とするシンは、攻撃を一瞬ためらってしまう。しかし、その隙をつきフリーダムが果敢に攻勢に転じ、その弾みでネオのウィンダムを撃墜した。地上に激突し、コクピットから投げ出されるネオ。モニターに映し出された、仮面が外れ素顔の彼の姿にマリューは愕然とする。
 一方ネオを墜とされショックを受けたステラは、更に暴走し一時フリーダムを振り払う。その隙にシンは必死にステラへ語り掛ける。「君は俺が守るから!」その心からの叫びに言葉にステラは我に返り、ようやくデストロイは停止した。シンの言葉に安らぐステラ。 しかし、先の戦闘で裂けたコクピットの間からフリーダムの姿を見た彼女は、再び恐怖に怯え暴走をはじめる。駆け寄ろうとするインパルスへビームを放とうとしたデストロイは、次の瞬間フリーダムの一撃を受け、ついに沈む。
 同じ頃、オーブのサイの自室にて、壁に飾られたフレイの写真が音もなく落ちていく。

 デストロイを討たれ、コックピットから落ちていくステラを拾い上げ戦場を離脱する。それを茫然と見やるキラだが、やがて力なくAAへと帰還する。
 今まさに息も絶えようとする瀕死のステラに駆け寄り、抱き起こすシン。微笑みながら彼に「好き」と告げると、ステラは眠るように息絶えた。ステラの死に絶叫するシン。
 そして近くの湖にインパルスの掌からステラのなきがらを沈める。しかしその直後、インパルスが飛び立った後で、近くの森から数人の人影が現れ、「回収を急げ」と隊長格の男が指示を与える。

備考:ステラが息を引き取る直後のエンディングにおいてはステラを湖に沈めるシーンにエンドクレジットが流れるという形式をとる。もちろん流れる曲は桑島法子女史の深海の孤独

アイキャッチ:デストロイガンダムとステラを


追加設定
デストロイガンダム:ロゴスがFファイル(フレイがクルーゼによってもたらされた資料)をもとに、フリーダムの火力、ジャスティス、プロヴィデンスの指向性を併せ持つMSの開発を目指したものの現在の地球軍の技術力ではどうしても大型化を余儀なくされるもそれを活かし、現在の動く要塞として運用されるに至る。
 本来はザムザザー等同様に数人のパイロット、オペレーターで操縦されるのだが、今作戦において生体CPU1体での運用試験をかねての出撃だった。
 なおこのデストロイはあくまでも試作品であるものの、後に量産に踏み切ったが、さらにはデストロイを発展した本命の機体があるとか。


PHASE32:示される世界
あらすじ:連合軍基地内の一室にて、件の博士がステラの肉体を回収したという連絡を受け、何かしらの処置のため早急に運ぶよう指示を与える。
 一方戦場を離れ潜伏中のAA内、キラは軽い不調を訴え、医師の指示に従い一晩の間安静を余儀なくするのだが。
 ベルリン攻防戦の後日、ミネルバはベルリンの郊外で事後処理にあたっていた。デストロイにおけるベルリンの惨状は想像を絶するものでありタリアもアーサーもただただ戦乱のむなしさを痛感せざるを得なかったのだが。
 一方アスランはステラの一件を心配してシンの部屋を訪ねたのだが、そこではシンがレイとともにフリーダムとの戦闘を想定したシミュレーションを行っていた。それに軽い衝撃を受けシンに真意を糾す。現時点において最強と目されるフリーダムと戦うこともあり得る以上、対策は必要であると、シンとレイは応える。確かにその主張は正しいのだが、それゆえにアスランは激しく苛立たせることになる。
 一方アークエンジェルでは、回収されたネオが意識を取り戻していた。艦内に残されていた身体データから彼は前大戦で行方不明になった、ムウ・ラ・フラガ本人であると確認されたが、ネオはムウとしての記憶を全て失くしているようだった。それでも以前と変わらぬ彼の様子に、マリューはミリアリアに気遣われるまま嗚咽する。
 そんな中、デュランダルが突然全世界へ向けて演説を始めた。世界中のモニターにデストロイの侵攻と現地の惨状が映され、次に軍需産業複合体・ロゴスのメンバーが、顔写真入りで白日の下に晒された。驚愕するジブリール、オーブでもセイラン父子も動揺を隠せない。続けてロゴスへ宣戦布告するデュランダルの姿に、世界の人々は彼を支持する雄叫びをあげる。シンもまたデュランダルの言葉に心引かれていくように見えた。
 またプラント内でもその放送に衝撃を受けつつも、議会はデュランダルを完全支持するに至る。
 一方、1機の輸送機にて、あの博士もこの放送を見ていた。ジブリールとは対照的に冷静に放送を見ていた博士は冷凍保存カプセルに目をやる。そこには先刻回収したステラの遺体が保管されていた。同時に伝えられたスティングの生存の報告に興味を示さずそのステラに博士は言う「君には人類の限界を打ち破る鍵として協力してもらうよ」と。

アイキャッチ:ウィンダム(量産)群とロード・ジブリール


PHASE33:悪夢

あらすじ:キラは夢を見ていた。そこは月の幼年学校の桜並木、そこに立っていて目の前にいるのはピンク色の服を着ていたフレイ=アルスターであった。その彼女は涙を流している。何故に泣くのかを問おうとするキラに、今度は背後からザフトの白い軍服をまとった仮面の男が「君も憎しみの種を蒔いてしまった」とキラに語りかける。
 フレイとクルーゼは寄り添うように「その憎しみの種を摘み取ることが出来るのはキラ自身の命だ」とキラに告げる、そこでキラは目が覚めるのだった。
 ブリッジに上がったキラは、昨晩の夢のことを胸にしまいつつカガリ、マリューらとの協議の末、オーブの混乱を考慮、帰国を決定する。しかしそれをザフトの哨戒機によって発見されてしまう。

 それと前後し、ミネルバに新たな命令が下った。友軍と共にAAを包囲し、これを討てというのだ。それはとりもなおさずフリーダムと対峙すること、その想いにシンは決意を固める。それとは対称的にアスランは突然の命令に納得できず、タリアに対し異議を申し立てるが、彼女もすでに司令部に異議を申し立てるも却下されていたのだ。旗色不鮮明な危険分子であるAAとその一党、それを攻略せよというのがプラント本国のから下された命令だからである。
 こうしてAA攻略作戦、フォーリンエンジェル作戦が実行される。AAの姿を確認したミネルバ、タリアは独断でAAへ降伏を呼び掛ける。モニターに映し出されたのは、かつてオーブのドックで邂逅した整備士の姿、彼女こそがAA艦長、マリュー=ラミアスだったのだ。マリューはタリアの好意に感謝を示しつつもその申し出を謝絶する。一方のシンはそんなマリューの言葉を欺瞞と感じ、ミーティングルームのモニターに拳を叩きつける。
 発進したシンは、レイとのシミュレーションを通じての戦法でキラのフリーダムを徐々に圧していた。インパルスの特性をフル活用しながら戦いに集中するシンに対して、AAを守りつつコクピットを避けて攻撃するしかない、それがキラの弱点だと、レイは突き止めたのであった。
 肉薄するインパルス、シンは「あんたがステラを殺したんだ」とキラに言い放つ。その言葉にベルリン攻防戦のことと昨夜の夢のフレイの言葉に激しく動揺するキラ。しかしAAを守るためにもシンを退けなければいけなかった。
「僕の命がほしければ、いくらでもあげる。でも僕は、君にやられるわけにはいかないんだ」
 何とか海中へ逃れようとするAAに対して、ついにミネルバのタンホイザーが火を噴く。同時に、インパルスのソードがフリーダムに突きたてられる。大爆発の後、爆煙の中から現れたのはインパルスだった。

アイキャッチ:フォースインパルスとシン


PHASE34:混沌の先に

あらすじ:シンの猛攻によって大破し海中に沈んだフリーダムは、カガリのルージュによってひとまず無事に救い出された。アークエンジェルも、深刻なダメージを負いながらも何とか逃げおおせ、オーブへと向かった。
 フリーダムを仕留めて帰艦したシンを、ミネルバのクルーたちは歓喜の声で迎える一方、愕然とした表情で近づくアスランに、シンは「仇は取った」と言い放つ。その言葉にアスランは逆上し、つかみ合いとなってしまう。そこでレイは二人を引き離し、キラやAAに対するアスランの思いを個人的な感傷と断じ、軍人である以上本国の命令は絶対だと主張する。その言葉の正しさに、アスランも引き下がるしかない。
 一方、戦争の早期終結を唱えるデュランダルの言葉に感銘を受けた人々が各地でゲリラ行為を開始していた。そんな中、とある研究施設にゲリラとともに潜入した反BC派の士官たち、飾られたフレイの肖像に銃を向けるゲリラの少年を制止した士官は心の中でわびつつハンドバズーカでそれを吹き飛ばす。
 同じ頃、本国のザフト基地では、イザークが事体の趨勢の不明とAAの不審に、そしてそれらに何らかの行動を起せない自分に苛立ち、ディアッカとシホにたしなめられるままとなっていた。
 そうこうと追い詰められたジブリールらロゴスのメンバーは地球連合軍の本拠地「ヘブンズベース」へと逃げ延びていた。それを討つべく、ザフトはジブラルタルへ集結を開始。その中には、ミネルバも含まれていた。
 ジブラルタルへ降り立ったデュランダルは、アスランとシンをMS格納庫に呼び出す。そこには2機の最新鋭のMS・デスティニーとレジェンドがあった。
今後の作戦において彼ら二人に受領するというのだ。目を輝かせて喜ぶシン、それに対してアスランは、デュランダルへ疑いの眼差しを向ける。

アイキャッチ:エターナルとラクス


PHASE35:欺瞞の暗雲(原題:アスラン脱走)

あらすじ:デスティニーを与えられ喜ぶシンとは対照的に、アスランはAA討伐に関しデュランダルを質す。
 キラたちが戦局を混乱させたのは確かだが、戦乱の終結を望んだことについてはそもそも自分たちと同じではないのかと。
 そんなアスランの問いかけに、キラは自分自身の、特に戦士としての自身を自覚していなかった。それがデュランダルの答えだった。
 デュランダルとアスランのやりとりに、後ろ脇のミーアは一抹の不安を覚える。そしてもう一方にたたずむレイもまた。疑念の目で彼を見ていた。

 ヘブンズベース攻撃を目前に控えたジブラルタル基地内は、デュランダルの考えに賛同してザフト側に付いた地球軍も迎え入れ、これまで以上に沸き立っていた。
 その夜、アスランの部屋をミーアが訪れた。彼女は今すぐ改めてデュランダルに忠誠を誓うように説得を始めた。彼女は、偶然デュランダルとレイの会話を立ち聞きしたのだ。それは彼らがアスランの処遇についての話だったのだ。
 そんなミーアの言葉にアスランは悟った。与えた役割に従わない者は、容赦なく切り捨てる。それがアスランが見出したデュランダルの本性だったのである。
 突然部屋の外から誰何の声が上がる。入ってきた兵士を振り払い、アスランはミーアを連れて逃げようとしたが、ラクスとしての役割を与えられた彼女はその手を振り払った。ラクスとして生を歩んでいた彼女は今更それを覆すことはできなかったのだ。
 アスランは、メイリンの部屋へとたどり着く。何かただならぬ事情があり逃げていると悟ったメイリンは、機転をきかせてアスランをかばう。更に基地の端末に入り込みMSの経路を割り出す。
 メイリンとともにアスランはグフのハンガーへ辿りつく。しかし、そこに異変を察知した現れたレイと対峙。アスランもメイリンを巻き込まないように説得するも、以前からアスランを不穏分子として睨んでいたレイはアスランの言葉に耳を貸さずメイリンもろともアスランに銃口を向ける。成り行きでメイリンと共にグフへ乗り込んだアスランは、ひとまずアークエンジェルと合流すべく、ジブラルタルを脱出。レイはすぐさまレジェンドを駆り、突然のアスランの脱走に驚くシンと共に、その後を追う。

アイキャッチ:グフイグナイテッド・青とアスラン&メイリン


PHASE36:雷鳴の闇

あらすじ:ジブラルタルを脱出したアスランを追跡するシンとレイ。メイリンがアスランと行動を共にしていると知り、デュランダルは機密保持のためレイへ撃墜許可を与えた。その場にいたタリアは状況の説明とともに攻撃の中止を求めるも、デュランダルは耳を貸そうとしない。
 一方シンは、突然のアスラン追撃命令に戸惑っていた。レイは、そんなシンに檄を飛ばし、アスランとメイリンの乗るグフを追い詰めていく。戦いながらも、必死にシンを説得しようとするアスラン。しかしその言葉はレイに都合よく曲げられてしまう。
 結局アスランの真意はシンには届かず、シンは心の中に生じた迷いを振り払うかのように、今や「敵」となったアスランとメイリンが乗るグフを撃墜する。海面に沈むグフの機体。しかしそれを静観していた者たちがいた。
 一夜明け、事件の真実は闇に葬られ、ミネルバの面々はアスランとメイリンの裏切りと死を同時に知らされた。事件に激しく動揺するミネルバのクルーたち。特にルナマリアは妹の死を知らされ、身を案ずるシンにすがり付いて泣き崩れる。シンもまたただただルナマリアを支えることしかできなかった。
 同じ頃、連合に潜伏していたキサカ一佐を乗せた1機の輸送機がオーブへと到着する。一室では重傷を負い、手当てを受けているアスランとメイリンもいた。
 その頃デュランダルは、ジブリールらロゴスメンバーの引渡しと全軍の武装解除を求める最後通告を、ヘブンズゲートへ送っていた。この通信を傍受したアークエンジェルとエターナルには、緊迫した空気が流れる。
 所は変わり、連合の研究室にても、あの博士が何やらの手術を終えて一息つきながら通信を聞いていた。
 その博士に助手らしき人物が何かしらについて問いかけ、博士は適切な処置を命じる。
「ついに、出来た。人類の限界を超える鍵が」
 と、安堵の表情を浮かべてつぶやいた。

アイキャッチ:レジェンドガンダムとレイ


PHASE37:新しき旗

あらすじ:ついに、ザフト・反ロゴス連合におけるヘブンズベース攻略戦が開始された。
 心に深い傷を負ったルナマリアは、その怒りをロゴスとの戦いに転化すべく、インパルスの調整に没頭していた。アスランとメイリンの件で負い目を感じるシンは、ルナマリアとひととき心を通わせ合う。
 デュランダルから最後通告を突きつけられていた地球連合軍は、回答もなしに突如戦闘を開始した。先陣を務めるのは、新たに用意されたデストロイ5機、その中にはスティングの姿もあった。そんな中、あの博士は極秘に月へと向かう「デストロイもニーベルングもおもちゃに過ぎない」と捨て台詞を残しつつ。
 その頃アークエンジェルでは、アスランが意識を取り戻していた。彼とメイリンは、キサカによって無事救出されていたのだ。死んだと思っていたキラとの再会に喜ぶアスランだが、体力が回復していないため、今は満足に話すことすらできない。カガリに見守られながら、彼は再び深い眠りについた。
 展開したデストロイに海上のザフト艦隊が打撃を受け、地上へ降下する部隊も、ニーベルングによってほぼ壊滅状態になってしまった。こうして圧倒的優位と思われていたロゴスだが、シンのデスティニーとレイのレジェンド、そしてルナマリアのインパルスが、立ちはだかるMS、MA群を次々と撃破する。そしてデスティニーが最後に対峙するスティングのデストロイにとどめの一撃を浴びせる。爆散し、炎に包まれるスティング。しかし彼の脳裏にアウルの声が響く。ステラがまだ迷っていると。しかしスティングは一緒に待とうと告げ、「俺も、刻(とき)が見えたよ」と言い残し炎の中に消える。
 やがて無力化したヘブンズゲートに白旗が揚がり、ロゴスの老人たちも軍に拘束され連行される。が、すでにジブリールは何処かヘ姿を消した後であった。一方、地球連合の敗北を目の当たりにしたキラは、己の無力さを噛み締める。

アイキャッチ:デスティニーガンダムとシン


PHASE38:よみがえる剣(原題:天空のキラ)

あらすじ:廃棄コロニー・メンデル、その中をダコスタが遺伝子研究所を調査していた。全てのデータが廃棄された中、唯一残されていたノートを偶然にも発見する。帰還後、そのノートをラクスとバルトフェルドに検討のために見せる。その中には「デスティニープラン」なる記述が記載されていたのだ。それに関連して「世界のために人が生きるのではなく、人が生きる場所が世界なのだ」その文言を目にしたラクスらは思いを致さずに入られなかった。
 ヘブンズゲートは、ザフトによって完全に制圧された。が、ジブリールの行方は未だに不明のまま。デュランダルは、その足取りを追うよう軍に命じる。その頃オーブのオノゴロ島では、傷ついたAAがドックに入っていた。クルーたちが修理に追われる中、フリーダムという力を失い、一人焦るキラ。マリューは、そんなキラに優しく励ますのだった。そんなキラたちにマードックが「新たなる剣ができた」というエターナルからのメッセージを手渡す。
 一方ようやく意識を取り戻したアスラン、久しぶりにカガリと、そしてキラと言葉を交わしていた。後にキラは、一人シャトルにて宇宙へと上がる。
 エターナルに合流したキラ、そのとき艦内警報が走る。ダコスタが帰還中にザフトの哨戒に引っかかってしまい、追跡艦隊が迫ってきたのだ。この場を切り抜けるべく強行突破を試みるラクス。それと同時にキラに新たなる剣、ストライクフリーダムガンダムを手渡す。それに乗り宇宙へと駆るキラは、ザフトの追撃隊を沈黙させ危機を脱出する。
 一方の地球、オーブではまさに一触即発の事態に陥ろうとしていたのだ。

アイキャッチ:ストライクフリーダムガンダムとキラ