機動戦士ガンダムSEED
DESTINY REVENGE 第2クール
(PHASE14〜26)

PHASE14:よみがえる翼

 連合の包囲を退け、オーブを発ったミネルバは、一路カーペンタリアへ進路を取った。
 最大の戦功を立てたシンのインパルス。帰還した彼をルナマリア以下歓喜をもって迎える一方、アーサーもシンの資質以上の何かと感じ、それに際しデュランダルがそれを見抜いたのだと賞賛する。しかし、タリアは他に何やらを感じてはいたのだが。
 その頃、カーペンタリアでは、1機の潜水艇が、とある任務のために密かに出撃していた。


 一方オーブでは、自室で物思いに沈むカガリの前にユウナが現れ、彼女へ結婚を迫っていた。こんな情勢の中で何を言うのかと返すカガリに、この不安定な情勢下であればこそ、二人の結婚は国の結束に役立つだろうし、かつて彼女と共にしていた者たち、コーディネイターであるアスランやキラは、今や国の母となる彼女とは住む世界が違うのだ。そんなユウナの言葉に、カガリ戸惑いを禁じえないでいた。
 同じころ、キラやラクスたちも決断のときを迎えようとしていた。オーブと大西洋連邦との同盟が締結されれば、コーディネイターであるキラたちはオーブに留まれなくなるのだ。本来アスランの帰りを待ってからとは思っていたが、この切迫した状況ではそれもままならず、それでいてそれでいて決断をしかねていた。それはラクスの物憂げな表情を読んでのことなのだが。
 その夜、屋敷を謎の一団が潜入した。そのただならぬ状況から、賊の目的は要人暗殺。つまりはラクスを狙っていることが明白だった。
 いずれにせよ、キラたちは難を逃れるために屋敷地下のシェルターへと避難するが、賊はMS、それも正体不明の機体を用い、屋敷ごと吹き飛ばそうと画策する。その執拗な攻撃によって、ついにシェルターの外壁を破壊されるに至る。そのとき、突如現れた白い機体、キラの乗るフリーダムガンダムが、MS群を瞬く間に一掃した。
 武装を破壊され無力化したMS、しかし自爆スイッチを押したのか、総てのMSは爆散ずる。
 ようやく昇り始めた日の光を浴びながら、封印から解き放たれたフリーダム。搭乗するキラの瞳には、強い決意の光が宿っていた。

アイキャッチ:フリーダムガンダムとキラ


PHASE15:明日への出航(たびだち)

 昨夜襲撃した一団、それらが使った機体は、先にサイが入手した情報により、ザフト正規軍の最新鋭機・アッシュと確認され、賊の正体はおそらくザフト特殊部隊、つまりはラクス暗殺のために派遣されたものだった。
 それはすなわち、デュランダルがラクスを排除しようとしたということ。そもそも情勢不安定なオーブからプラントへの移住を考えていたキラたちは、この事態で他の選択を余儀なくされる。
 そんな時、訪ねてきたカガリの乳母・マーナは、カガリとユウナの結婚が決まったと伝え、キラへ手紙を手渡した。カガリからの手紙には、アスランから渡された指輪が同封されていた。彼女はオーブの代表としての責務を果たすため、ユウナと結婚するというのだ。アスランへ返しておいて欲しいと頼まれた指輪を見つめながら、キラはある決意を固める。
 その頃オーブ各地に潜伏していたノイマンやチャンドラ、かつてのアークエンジェル:AAクルーたちにも密かに連絡が取られていた。
 ついに迎えた婚礼の日。市民の見送りに喜々として手を振るユウナに対し、カガリの表情には花嫁らしい晴れやかさは微塵もない。今の彼女には、アスラン、そしてキラとの日々を思い出しながら、国のためにと思いつつも諦めざるを得ないそんな忸怩たる思いが秘められていたのだ。そうこうとしているうちに、車は式場へと向かう。
 その頃マリューたちは、集結したクルーたちとともに、地下の秘密基地に集結し、密かに改修したAAを発進させる。一方キラの駆るフリーダムは、オーブ市内へ飛び立っていく。
 式は粛々と行われ、いよいよ誓いの儀を始めようとしたとき、突然式場に現れたフリーダムに、唖然とするカガリ。キラはそんな彼女を掌に載せると、警備していたオーブ軍を尻目に、空へと飛び去っていくのだった。
 フリーダムが飛び立ったあと、騒然とする市街地にてサイはひとり平静を保っていた。
 フリーダムが飛び去った空を見上げ彼は一言、
「フレイ、キラを護ってやってくれ。キラはまだ、この世界に必要なんだ・・・・・」と。
 そして飛び去ったフリーダムは、オーブ領海外にて待機していたAAに帰塔し、そのまま飛び去っていく。

アイキャッチ:アークエンジェルとマリューを


PHASE16:戦場への帰還

 ミネルバと合流するため、セイバーを駆って地球へと降り立ったアスラン。はじめカガリやキラの様子を見るべくオーブへ向かう。しかしオーブは彼の入国を拒んだ。すでに連合との同盟を結び、ミネルバも出港した後だったのだ。追い立てられたアスランはやむなくミネルバの後を追いカーペンタリア基地へと向かう。
 一方AAでは、結婚式場から連れ去られたカガリが、キラたちを問い詰めていた。憤るカガリに、キラはアスランの指輪を手渡しながら語りかける。
「僕たちは今度こそ、正しい答えを見つけなきゃいけない」
 その言葉に今まで押し殺してきた感情を解き放つかのごとく、カガリはただ泣き崩れるのみであった。
 一方のアスランは、カーペンタリアにたどり着き、停泊中のミネルバと合流するに至る。自分がオーブを発ってからの一連の事件。ことにカガリが結婚式の最中にさらわれた一件を聞かされ呆然とするが、犯人がフリーダム、即ちキラだと知り、ひとまずは安堵するのだった。
 気を取り直してアスランは、デュランダルからの新たな命令書とフェイスの徽章をタリアに手渡す。改めて議長直属の特務部隊として任命されたタリアは、手渡された命令書に目を通し、複雑な表情を浮かべる。ミネルバの新たな任務は、ジブラルタルでスエズ攻略戦を行っているザフト駐留軍への支援と、連合に対し独立の機運が高まっている、国々への支援を行うものだったのだ。
 今後ミネルバは、国家間・民族間のデリケートな問題を踏まえつつ連合の攻勢に対さなければならないのだ。
 さまざまな想いをはらんで、カーペンタリアを発ち新たな戦場へ向かうミネルバ。一方ファントムペインのネオは、その艦影を捕捉し不敵な笑みを浮かべる。

アイキャッチ:セイバーガンダムとアスラン


PHASE17:インド洋の死闘

カーペンタリアを出発したミネルバは、潜水艦・デグチャレフと共にジブラルタルへ向かった。その頃ネオは、そこから程近い半島で密かに地球軍基地建設の任に就いていた部隊にミネルバ迎撃のため協力を要請し、守備隊に配備されたウィンダム数機を借り受ける。援軍を得たネオは、スティングと共にミネルバを襲撃する。
 その事態に対し迎え撃つアスランとシンだったが、それはネオの巧みな陽動作戦だった。水中深く潜行していたアビスが、ミネルバの目前に迫る。慣れない水中戦に戸惑うレイとルナマリアのザクを尻目に、アウルはデグチャレフを一撃のもとに轟沈させてのけた。
 その頃シンは、突如海岸線から現れたガイアガンダムを追って戦線から離れ、基地建設予定地に辿り着いてしまう。そこでは、基地建設のために借り出された現地の民間人たちが、強制労働させられていた。連合兵の暴虐を目の当たりにしたシンに怒りの炎がともり、基地施設やウィンダムをはじめとする戦闘兵器群を烈火のごとく次々と破壊してのける。そして民間人を解放し、家族との再会を喜ぶさまに、シンはようやく安どの表情を浮かべるのだった。
 しかしミネルバに帰還したシンを待っていたのは、アスランの叱責だった。いかに義憤ゆえに民間人たちを解放するためとはいえ、それはある意味一方的な破壊と殺戮とアスランはとらえていたのだ。
 そして「自分だけで勝手な判断を下すな。戦争はヒーローごっこではない。力を持つ者なら、その力を自覚しろ」アスランの言葉がシンの心に突き刺さる。
シンにとっても初めからそのつもりはなかったのだが、それだけにアスランに対し、シンの瞳には反抗的な光が宿っていたのだ。

アイキャッチ:ウィンダムとネオ


PHASE18:戦士の条件

ミネルバがインド洋連合基地の攻略にあたっていたころ、逃亡中のアークエンジェルは、スカンジナビア王国に身を寄せていた。マリューらは今後の身の振り方を話し合うが、情勢を掴み切れていない上に、先のラクス暗殺未遂事件やら、現在地球に向けて放映されているラクスに瓜二つの少女の存在もあって、これもまたデュランダル議長の差し金だろうということで、そのつかみかねない彼にみな懐疑的だった。そんな中カガリは、プラントへ向かったまま消息不明のアスランの身を案じるのだった。
 話を戻しミネルバは、スエズ攻略の前線・マハムール基地に到着していた。次の作戦目標は、地球軍の発電プラントを守るように位置する、ガルナハンのローエングリンゲートである。唯一の通り道とも言える渓谷には巨大なローエングリン級陽電子砲が配備され、その応用で開発された、陽電子リフレクターを装備した新型モビルアーマーが守りを固めている。この先ジブラルタルへ向ためには、ミネルバはこの難所を突破しなければならない。そしてそこを攻略すれば孤立した連合のスエズ戦線は弱体化するのだ。ミネルバをここへ差し向けたデュランダル議長の思惑を感じながらも、タリアは作戦に全力を注ごうとするのだが。
 一方で、アスランはシンと直に話し合う機会を得た。先の戦闘で成り行きシンを叱責したのだが、それはシンがかつての戦争に参加した自分をある意味同じであることを想ってのことで、それを踏まえて言っておきたいことがあったのだ。戦士としての心構えを淡々と話すアスラン、しかし叱責されたことにいまだに納得していないシンは、自分の判断は間違っていないとかたくなな態度を崩さない。そんななシンに、アスランは複雑な思いを禁じえなかった。

アイキャッチ:ブラストインパルスとシン


PHASE19:ローエングリンを討て

 ミネルバはマハムール基地のラドル司令らと共に、ガルナハンのローエングリンゲートを目指し進攻していた。今後の戦略を踏まえミネルバ隊自身もここを落とし、ジブラルタルへと赴かなければならないのだ。
今作戦にては、現地のゲリラの支援を得るに至り、その案内役にゲリラの少女、コニールを迎え入れる。渓谷を見渡せる位置に配置された件の巨大なローエングリンを破壊するためのルートの情報を、コニールは提供する。
 攻略作戦の指揮を執るアスランは、その作戦の要ともいえる重要な役目に、シンを指名した。いまだアスランへの反発心がくすぶっているシンだったが、以前ザフトの攻撃が失敗した際に街が受けた被害をコニールから聞かされ、気持ちを引き締め直し了解を伝える。
 こうして作戦が開始され、シンのコアスプレンダーが、コニールの用意したデータだけを頼りに古い坑道の暗闇を突き進み、フライヤーとパーツがそれに続く。ミネルバが敵MAを引き付けている内に、狭い坑道を抜けて砲台へと近付く作戦なのだ。
狭い坑道内に手間取り、文句を言いつつも予定地点に着いたシンは、地上へ躍り出ると即座にインパルスへと合体し、避難壕へ逃げようとする砲台へ向かった。行く手を遮る敵MSを仕留めたシンは、避難壕のシャッターが閉まる寸前にその機体を押し込み、その誘爆で砲台とMAゲルズゲー、そして地球軍基地の破壊に成功した。
 歓声を上げて感謝する街の人々の姿に、シンは心地良い充足感を覚えるのだった。
しかし一方で捕虜となった連合兵士たちがゲリラ兵から虐待を受けている様を、アスランは歯がゆい想いとともに見るだけしかなかったのだ。

アイキャッチ:ゲルズゲーとコニール


PHASE20:見えない真実

 地球軍のガルナハン基地を陥落させたミネルバは、補給のために黒海の沿岸都市・ディオキアのザフト基地へ到着する。そこでは今まさにラクスの慰問コンサートが始まろうとしていた。割れるような大歓声の中に降り立ったザクの掌から現れたラクス。もちろんそれはラクスを演じるミーア=キャンベルだったのだ。そんなミーアの姿を見て、見入っていたシンとルナマリアをよそにアスランは内心驚きを禁じえなかった。
その頃、タリアも基地施設内で、デュランダル議長と突然の再会を果たしていた。
 この時期に地球へ来たデュランダルの意図を探ろうと質すタリア。しかし彼女の質問を軽くはぐらかしたデュランダルは、後にシンやアスランたちミネルバのパイロットを迎えて、その戦果を労う。会話が進む中、話題は現在の情勢から次第に戦争そのものへと移る。デュランダルは、経済の観点から戦争を望む者がいることを語り始める。そこで連合の黒幕として認知されたブルーコスモスにはその母体であるロゴスのことを初めてシンたちに話す。彼らは戦争を産業と考え、利益のために昔から陰で世界をコントロールしているのだ。これまで考えもしなかった戦争の側面に、シンたちは衝撃を受ける。
 そんな中ライブを終えたミーアが部屋に入って来て、アスランとの再会に大喜びで抱きつくのだった。その光景にあきれ顔の周りの者たちとともに困惑するアスランだった。
 後にアスランだけが残るように言い渡されると、デュランダルはかつて彼自身が所属していたAAの行方を聞く。さらには本物のラクスを探していると語るデュランダルは、連絡が入るようなことがあったら、報せてほしいとも頼むのだった。

アイキャッチ:ライブ用ザクウォーリアとミーア


PHASE21:さまよう瞳

 休暇を与えられたミネルバ隊の一行は、デュランダルによって手配されたディオキアのホテルに宿泊していた。翌朝目覚めたアスランは傍らにミーアが寝ているのに気付き、思わず叫び声を上げる。何事かと駆け付けたシンたちにはその有様にあきれ、特にルナマリアに至っては、今までの尊敬の念が一気に崩れていくように感じ、後の朝食の場ではどこか距離を置くようになってしまう。
 そんな一同のもとに新たにミネルバ隊に配属されたFAITH要員たるハイネが現れる。後に語られるだろうデュランダル議長の密命で配属されたのだが。

 さて当のデュランダルはすでにディオキアを発ち、本国において今後の作戦展開を検討するためというが。
 
ハイネの提案でミネルバクルーたちは思い思いに休暇を過ごすことになる。そんな中、シンは一人バイクで遠出していた。昨夜デュランダルが語った言葉が、彼の胸にはしこりとなって残っていたのだ。
 あの事件の後にオーブからプラントへと発ち、やがてザフトに入隊するいきさつを反芻させつつ、ぼんやりと海岸線を歩いていたシンの目の前に一人の少女が現れ、しばらく舞っていたが、やがては崖から落ちてしまう。シンは慌てて海へ飛び込み、必死に彼女を救けるが、そこで口にした「死にたいのか」という言葉に少女は激しくおびえて暴れ出す。
 その少女こそ、あのステラ=ルーシェだったのだ。シンが発したブロックワードに反応し恐慌状態となったステラにシンは何とか抑えつつ「俺が君を守るから」と、優しく語り掛ける。
 崖下の岸に上がり、体を温めてから、シンは軍用の救難信号を上げる。その救難信号を受け、また何かをしたのかとアスランがかけつけ二人の救助にあたる。同じくステラを探すため現れたスティングらは、身分を隠しステラを引き取る。シンとの別れを惜しむステラに、シンは「きっとまた会えるから」と告げ、ひとまずは離れる。しかし今後起こり得るであろう運命を二人はまだ知るよしもなかった。

アイキャッチ:ソードインパルスとシン


PHASE22:蒼天の剣

 あの出来事以来シンは、別れ際ステラから貰った貝殻を妹・マユの携帯と共に、大切にしていた。どことなくぎこちなかっただったアスランとの関係も、気さくなハイネが間に入り、徐々にいい方向へと流れていくかにみえた。
 一方、ステラはシンとの記憶を除去され、シンが傷に巻いてくれたハンカチのこともすでに忘れていた。ステラたち強化人間は、戦闘に邪魔な記憶を定期的に消されていたのだ。そんなステラたちをネオは表面上は冷静な態度で見やるのだが。
 その頃、ユウナを指揮官とするオーブ軍の艦隊が、ネオらと合流すべくスエズへ向かっていた。大西洋連邦からの圧力に屈したオーブ議会は、派兵を承認してしまったのである。
 敵の増援として現れたオーブ艦隊に、動揺するアスラン。そんな彼に、ハイネは優しく語りかける「割り切れよ。今は戦争で、俺たちは軍人なんだから」と。
 その言葉に多少気持ちが和らいだアスランは、シンがオーブを嫌う心情をようやく理解しはじめる。シンは、平和だった頃のオーブを愛していた。それゆえに、変わり果てた現在のオーブを憎んでいるのだ。
 ダーダネルス海峡で、両軍はついに激突。シンとアスランが出撃し、ミネルバの陽電子砲・タンホイザーは、オーブの護衛艦群に照準を合わせるが、発射寸前に突如現れたフリーダムの一撃が、タンホイザーを貫いた。

アイキャッチ:グフイグナイテッド・橙とハイネ


PHASE23:戦火の陰

 突如ミネルバのタンホイザーを破壊して現れたフリーダム。続いてアークエンジェルからカガリがストライクルージュで出撃した。彼女は自らオーブ代表の名乗りを挙げると、戦闘の即時停止をオーブ軍に命じる。戦場にいた全員が困惑する中、ネオの恫喝に半ば我を失ったユウナは、無理矢理戦闘を再開させた。 続いてファントムペインの三機もミネルバを強襲し、ハイネ、ルナマリア、レイも迎撃のために発進する。
 キラは、カガリをアークエンジェルへ送り届けると、ザフト・地球連合双方のモビルスーツを砲撃し無力化していく。しかしフリーダムの登場を見計らったハイネはグフに密かに装備されていた簡易式ニュートロンスタンピーダーを発動させる。
 暴走を始めるフリーダムの原子力エンジン、キラはやむなくフリーダムの原子炉を切る。色を落としていくフリーダムのフェイズシフト。
 アスランも、戦場を混乱させているキラを止めようと必死に呼び掛けようとするが、先のスタンピーダーの影響からかキラとの通信は繋がらない。
 砲火を封じられたフリーダムに襲い掛かるグフとガイア、しかしフリーダムはその卓越した操作でまずガイアをはたき落とし、ハイネのグフも腕を斬り落とされた。それでもハイネは果敢に攻撃を仕掛けようとするが、先にはたきおとされたステラは逆上し、フリーダムに襲い掛かろうとするも、目前にはグフがいてガイアのサーベルに切り裂かれてしまう。

 直後、撤退信号を合図にファントムペインは退き下がり、フリーダムとアークエンジェルも何処かへと去った。ハイネを失ったアスランとシンは、それぞれ歯噛みするようにその機影を見つめるしかない。

アイキャッチ:アビスガンダムとアウル


・追加設定

簡易式ニュートロンスタンピーダー:開戦時のプラント再核撃戦において運用されたNスタンピーダーをデュランダルの命で密かに小型、簡易化して試作したものを、同じくデュランダルからフリーダム討伐の密命を受け派遣されたハイネのグフに搭載したもの。
 主な目的は戦術レベル、特に核関連動力を使用する兵器に対するもので、それはとりもなおさずフリーダム攻略を意図するものである。


PHASE24:すれ違う視線

 ダーダネルスでの攻防戦において甚大なダメージを受けたミネルバは、マルマラ海の港で修理・補給作業に入っていた。回収されるハイネの遺品を前に、シンは介入して戦場をひっかきまわした揚句、ハイネを戦死させた原因を作ったフリーダムとAAに怒りをあらわにしていた。一方でアスランはキラたちが戦場へ出てきた真意を直接問い質そうと調査のために独自行動をとるべくタリアに告げる。もともと特務としての権限として了承するタリアだったが、アスランが退出して後、ルナマリアに連絡を取る。
 ともかくもアスランはAAの行方を探るべくセイバーを駆ってミネルバを発つ。まずは手掛かりを掴むべくとある町を訪れたところ、今や報道カメラマンとして活躍しているミリアリアと偶然再会した。アスランも彼女に対しては複雑な感情を持っていたのだが、アスランの要請に対しミリアリアは、コンタクトを取ることを約束する。しかしそんな二人の動向を、ルナマリアがタリアの命で密かに監視していたのだ。
 その頃別命を受けたシンとレイは、本部からの情報をもとに破棄された地球連合側の研究施設の調査へ向かっていた。ところが建物の中を調査中に、レイが突然身体の変調を来たす。ひとまずミネルバに連絡を取り救援を待つこととする。
 一方アスランはミリアリアの連絡を受け駆け付けたキラ、そしてカガリと会合の場を得た。キラとアスランはこれまでに見聞きしてたものが全く異なる以上、その想いはすれ違うばかりだった。改めてキラの真意を質そうとするアスラン。その問いにキラは、ラクスが恐らくザフトの特殊部隊の一団に暗殺されかかったことを語り、アスランを動揺させる。

アイキャッチ:カオスガンダムとスティング


PHASE25:罪の在処(ありか)

 キラとアスランの会合の中で、ラクスを暗殺されかけたキラたちから見れば、デュランダルやザフトは確かに疑わしい。それでも地球との対話を重視した政策を取っていたデュランダルを信じるアスランは、改めてにオーブの戦争参入自体を止めさせるように言い残してその場から去って行った。今のアスランにしては事情がどうあれ、先の介入によってミネルバも少なからず被害を受け、さらにはハイネを失った責任がキラにある以上、キラの言葉はどうしても奇麗事に聞こえ、やはり受け入れることが出来なかったのだ。
 一方、シンの緊急連絡を受けたミネルバは、失調したレイを収容後アーサーを中心に調査隊を再編成し再び施設の奥へとへ向かっていた。改めて施設内を調査したシンたちは、奇妙な実験機器の数々と、研究員らしき人々や子供たちの死体を発見する。そこは、地球連合が先の戦争で実用化がされたエクステンデット、すなわち強化人間を極秘開発していたラボだったのだ。そのために有能なナチュラルの子供たちが実験体として扱われていたのを知るシン。コーディネイターが自然に反するものならばこのラボの行いは許されるのか。その矛盾にシンは怒りに震える。
 その頃、ミネルバが件のラボを調査しているとの報告が、ネオたちファントムペイン隊の元にも届いていた。己の古巣の危機を知ったアウルは激しく取り乱す。ひとまずなだめようとするスティングとステラしかしアウルの発した「死」という言葉に反応し。今度はステラが我を失い、ガイアを駆って単身ラボへと向かう。艦内で待機していたシンと帰還していたアスランは、突然単独で現れたガイアを迎撃。被害を考慮し中破させて拿捕し、ようやく捕えたパイロットがステラだったと知り、シンは驚愕するのだった。

アイキャッチ:ガイアガンダムとステラ


PHASE26:約束

 中破し拿捕したガイアに乗っていたのはかつて自分は助けたあの少女、ステラだった。シンはその事実に困惑しながらも、独断で彼女をミネルバ内の医務室へ運んでしまう。その事態にタリアは、勝手に敵のパイロットをかくまうシンをとがめる一方、軍医からステラの身体データが報告される。検査の結果、彼女は地球連合軍のエクステンデットだと判明したのだ。ひとまず外傷を処置しようにも体内物質の数値が異常なため、満足な治療もままならない。その上記憶をコントロールされ、シンとの思い出も失っていたのだ。処置をしようとする医療班に抵抗し暴れるステラに半ば絶望を覚えるシン。
一方アスランは、キラたちとの会合やシンとステラのことを考え、自室で思い悩むのだった。
 またルナマリアも、アスランとキラたちとの会話を録音したデータを前に、それをいかにタリアに報告しようかと思案に暮れていた。
その頃、ジブリールは今回の事態を受け、ステラを損失扱いするようネオに指示する。そこには一人の科学者らしき男が想いありげにたたずんでいた。やむなくネオはスティングとアウルの記憶からステラに関する一切を抹消するのだった。
再びミネルバにて、シンはステラに貰った貝殻を手に、再び彼女の病室を訪れる。眠りから目覚めたステラは、ようやくシンとの記憶を取り戻したのだったが。

 一方アークエンジェルでは、ラクスがプラントへ向かう決心を固めていた。彼女は前もって調べたミーアの滞在先を知り、マネージャーに変装したバルトフェルドと共にミーアの帰国用シャトルを奪い、心配するキラを残して宇宙へ旅立つ。

アイキャッチ:フォースインパルスとシン