巻来功士スペシャル

巻来功士先生といえばその独特のダークファンタジーに定評があり、その反面連載した少年ジャンプ編集部にはそれほど評判は低く、
初期の頃はひんぱんに連載打ち切りの憂き目にあった。それを幾度か繰り返したのち、
かの黒岩よしひろ先生と双璧を成さんとするカルト的人気を博することとなったのだ。
そんな巻来先生の歴史を各作品とともに述べていこう。

機械戦士ギルファー 
まず最初を飾るのはロボット同士のバトルを目指した近未来SFアクションである。主人公ギルファーは、自身が組み込んだ人工頭脳を研究した科学者で、事故で自身の肉体と恋人を失い、自身の記憶をその人工頭脳に組み込んで人工知能をめぐる陰謀に立ち向かうといったストーリーだったが、たしかにバトルを繰り広げるロボットたちはそこそこにかっこよかったが、やはりそのストーリー自体が特に人間関係のドロドロさに問題があり、わずか1クール弱の連載で幕を閉じた。
メタルK
続いてはサイボーグと化したヒロインが織りなす復讐劇を中心としたセクシーとサスペンスをウリとした作品だったが、これはセクシーはともかく当時ヒットしたターミネーターをヒントにした感もあったが、やはり出来損ないの造形でもあったかもしれない。その復讐劇の末に大いなる陰謀に巻き込まれていくといったストーリーに陥ったところでシメられたとか。それらを鑑みて大まかに見て敵味方共にどこか魅力に欠けたきらいがあったが、後に他雑誌で設定等を変えてのリメイクでひとまず描き上げられたかなといった感もある。
ゴッドサイダー
先の二作品の反省点から世に送り出されたのがこのゴッドサイダーである。主人公が神と悪魔双方の血を引きながら神の陣営ひいては人類のために戦うこととなり、悪魔側の陣営と死闘を繰り広げるといったストーリーで、その当時はやりのバトルものを取り込み他作品の後をついていく形になったとはいえ、ここでようやく読者うけのいい作品に仕上げられ、約3年ほどの連載と相成った。
ミキストリ
その後大小の作品を経て、活躍の場をスーパージャンプ(現グランドジャンプ)に移しこのミキストリの連載を開始した。
主人公はとある考古学者だったが、犯罪組織の抗争に巻き込まれ重傷を負い、居合わせた呪術家の皮膚を移植されその能力をも受け継ぎ、以後何故か殺し屋として裏社会に暗躍をする宿命を負う。はじめはさらわれた恋人を取り戻さんと犯罪組織に立ち向かうも、恋人は意識を失った状態で返ってしまい、以後彼女の意識を回復せんがために暗躍するのだ。
とまあそんな彼だが、次第に活躍の場を裏社会から世界の神話の神々、そしてそれにかかわる者達との対峙にまで話が広がり、あと掲載されたのが青年誌ということもありそれらの要素が受けたのかこれまたゴッドサイダー以上の人気を博して長期連載にこぎつけられたのだ。
ちなみに主人公の半ば相棒として彼を手助けした作家も晩年にて若き日の思い出を語る形のスピンオフ作品が描かれ、これまたひとまずのヒットを生んだとか。  

こうして後に、それらの作品群を資産として、今でもひとまずの活躍を見せ数多くの読者からの支持を集めることとなったのだ。