タイムボカンシリーズ

概要
<タイムボカン>
1960年代初頭にイラストレーターたる吉田竜夫氏が立ち上げたアニメ制作会社タツノコプロ。
子供向けのおとぎ話的な作品からアメコミ張りのヒーロー活劇ものなどの作品を次々と手掛け、今でいう異世界冒険ものの一環として、タイムマシンによる時空移動を軸とした冒険活劇ものとして製作されたのがこの『タイムボカンシリーズ』である。
その第1作である『タイムボカン』について、
伝説の宝石“ダイナモンド”を手に入れるべくタイムガイコッツを駆るマージョ一味に対し木江田博士の助手の丹平くんと博士の孫である淳子ちゃんが操るタイムボカンで争奪戦を行うのが主なストーリーである。当初メカの実験で時空の狭間に取り残されてさまよった博士を救出し、丹平くんたちのサポートを行いつつ大いなる力になり、味方側のメカのレパートリーも増えていったのもストーリーにメリハリを持たせたことだろう。
もう一つの魅力でもあるメカ戦に関しては、マージョ一味のグロッキーが造る敵メカがはじめボカンメカを追い詰めるも、最後のとどめに際しては土壇場のドジで自滅するというのが主なパターンであった。
最後秘宝であるはずのダイナモンドは実は宇宙から飛来した隕石の一つがその正体だったのがひとまずのオチだった。

<ヤッターマン>
タイムボカンのヒットを受け、前作の冒険活劇の要素にあわせて、ガッチャマン等のヒーローものの要素を合わせて制作されたのが『ヤッターマン』である。これは後のタイムボカンシリーズの原点で、王道にしてある意味異端、あるいは異端だがまさしく王道の作品だった。
盗賊集団“ドロンボー”一味が大秘宝のありかを記したと言われる“ドクロストーン”をめぐって発明好きの少年ガンちゃんととなりの家電屋の娘アイちゃんが、ひそかに制作した“ヤッターワン”を駆ってドロンボーの野望に立ち向かうといったのが主なストーリーでもある。
冒険の舞台は世界の各地で、時には歴史考証や果てはおとぎ話っぽい世界観など、ちょっと現実とはかけ離れた感もある設定もあるけれど、これは初期のタツノコプロに見られる無国籍感からくるものでもあり、これが当初の異端の要素ともいえる。その一方でその初期の作品から鑑みれば、このヤッターマンについても現代のおとぎ話ととらえればやはり今でも通用する王道ともいえる。
ヤッターマンの魅力として、やはり前作のメカ戦からピンチに陥ったあとで1号が投げるメカの素を食べて繰り出すビックドッキリメカ(以下チビメカ)を繰り出して反撃をしてドロンボーメカを撃破するということだろう。初期は成すすべもなくドロンボーメカも解体されるに任せていたのだが、後期になってドロンボー側もチビメカを繰り出して立ち向かうようになる。しかしそのチビメカ戦を強調させたあまり母機である本来のドロンボーメカは負ければ自爆というパターンにも陥ってしまった。
あと後期あたりで1号のガンちゃんとドロンジョがいい仲になってしまうのも、話の変化をつけようとする意図を感じたのだけれど、そういえばその2人の仲を嫉妬したボヤッキーが2人とも爆弾で吹っ飛ばそうとしたとかつてのてれびくん(小学館)の漫画に載っていたと聞いたけれど。
そういえばそのヤッターマン、同じく制作されたガッチャマンといくつか共通点があるのをここにあげたい。その点を述べるに、
・ヤッターマンとガッチャマンの語源が同じ。
・ドンズラー、ボヤッキーとギャラクター戦闘員が同じような感じ。あとドロンジョ様とベルク・カッツェ、といえばちょっと強引かもしれない。
・ドクロベー様と総裁Xは、と、これはネタバレになるので以下省略。
といったところか。


<ゼンダマン以降のシリーズ作品>
そのヤッターマンの後作品として、シリーズを彩るヒーローヒロインたちについてもひとまず述べたい。

ゼンダマン:若返りの霊薬“命の素”の在処を求めてゼンダマンとアクダマン(ムージョ、トボッケー、ドンジューロー)が戦う。前期はゼンダライオンがアクダマンメカと戦うのだが。元来戦闘メカよりも輸送メカの意味合いが強く、せっかく1号が“愛のムチ”で気合いを入れても結局持っていたシステムメカで反撃するのみといったヘタレメカであった。
後期ではゼンダゴリラのロボット格闘がメインになりよりマシな展開となったが。ムージョの魅力に気を取られて一旦はピンチに陥るも救援メカのサポートで逆転勝利というのもシリーズの黄金パターンに当てはまるかもしれない。
オタスケマン:歴史を混乱させるオジャママン(アターシャ、セコビッチ、ドワルスキー)とオタスケマンの戦いがメイン、しかしながらその両者、同じ組織内の同じ施設で両者の装備が保管されているという、かなり無理があった設定だった。まあその戦いは初代のタイムボカンのようだったけれど。
あと変化をつけるためにアシスタント役としてゲキガスキーや次作のドン・ファンファンなるイケ面キャラも登場した。
そういえばアターシャがひそかに慕う人物がいるという設定だが結局その設定のみが独り歩きしてしまった感もある。
ヤットデタマン:王位継承の証である霊鳥ジュジャクをめぐって、ヤットデタマンに扮するワタルとカレン姫、それに対する没落貴族のミレンジョ一味(ミレンジョ、コケマツ、スカドン)との戦いがメイン。ここからがいわゆる後期三部作といわれるとか。まず主人公とヒロインとの役割が分割化され、主人公のパートナーとしてのヒロインが確立された(イタダキマンの法子はちょっと違うけど)。あとここから大巨人といったスーパーロボットも登場したけれど、そこはタツノコアニメだけあって結局コントの突っ込み役に終始してしまった感がある。
逆転イッパツマン:時は一応の近未来にて時間を越えて品物を運ぶサービスを中心としたリース会社とそれを妨害するライバル会社との企業闘争がメインとし、その裏面での陰謀を描いた作品でもある。主人公側のリース社の整備員の豪さんことイッパツマンとそれを妨害する敵会社幹部でもあるムンムン、コスイネン、キョカンチンの対戦が繰り広げられたが、途中ライバル会社の大幹部によって一旦は倒されるも、謎の女性の力によって程なく復活しライバル会社の黒幕の会長の陰謀に立ち向かうのだ。
このあたりから前作のコケマツ、ここでのコスイネンあたりから科学者崩れとしての肩書を捨てて(まあ基本モジュールは手掛けているけれど)メカを外注にしたのだが、やはりポンコツの要素はそのまま継承されたのは言うまでもない。
イタダキマン:西遊記をモチーフとした学園を舞台として、仏法の秘宝“オシャカパズル”の探索をメインとしたストーリーである。ここで何故か学園の落ちこぼれ三人組(ヤンヤン、ダサイネン、トンメンタン)は、パズルを守り主人公側に立ちはだかる妖怪をサイボーグ化させる妨害役にあたるも、ここに至り事実上の傍観者になってしまった。
遅れてヒーローのイタダキマンは、本来ヒロインの法子の守護を担う役目にありながら、普段はヤンヤン一党と行動を共にし、いざ変身となれば本来のヒーローに扮して妖怪との戦いを繰り広げる。これもまた秘密のヒーローの要素を演じきっていたともいえた。

戦国武将列伝・爆風童子ヒッサツマン:先のイタダキマンの放映終了で一旦ボカンシリーズも休止して後にリリースされたいわゆるOVA作品である。日本の戦国時代を中心に活躍し、ある程度の歴史の守護を担うのがヒーローのヒッサツマンの使命でもある。敵役は今までのメンバーと打って変わり、ビージョ(小原女史)、バージョ(水谷優子女史)、ブージョ(TARAKO女史)の三人娘となっている。すなわち今までのボカンシリーズの流れをくんだものでもあった。で、まあ番外編といった方がいいかも。
怪盗きらめきマン:時は流れ2001年にテレビ東京系で放映された作品で、主人公(ちなみにヒロインがメイン)が怪盗、敵役の3人(ルージュ、ピエール、オンドレー、だったっけ)が警察官という表面の設定上善悪の陣営を真逆にしたものであった。歴史の闇に隠された秘宝を探し求めるといったストーリーでもある。

といったのがタイムボカンシリーズの主な概要でもあった。

<ど~れ、おしおきだベェ>
ボカンシリーズのストーリーの要素で欠かせないのが、ドロンボー一味が敗北した後に受ける“おしおき”をはじめとする、今でいうところのお約束コントの数々でもある。
まずはヤッターマンのお話冒頭、メカ製作のための資金調達を目的に、ドロンボー一味が様々なインチキ商売でおカネをせしめた後、ドクロベー様の指令を受けた後で(ここでヤッターマンにいつも傍受されているが)いざ出撃する。
これは次作のゼンダマンにおける、命の素の手がかりをモンジャ博士から敵役のアクダマンたちがあの手この手で奪い取るシチュエーションに連なっていることもあげたい。
それを軽いドラマ、バトルへと流れ、そしてドクロベー様のおしおきへと結んでいく、というところで。
あらためてそのドロンボーたちが任務失敗(というかヤッターマンに負けて)後にドクロベー様が下すおしおきもボカンシリーズの名物として当時の子供たちにまあまあ人気を博したコントの一つとして定着したのだ。それが後の二作、ゼンダマンとオタスケマンにも受け継がれたのはご存じのこと。
ゼンダマン:アクダマンたちが敗北したあと、反省会がてらにムージョの提案で造った裁判官ロボットの判決で今週のお仕置きが決まるシステム。後にロボットの暴走が原因でアクダマンの本拠地が崩壊した。
オタスケマン:バトルの後にいつもの特訓という形で主役敵役こぞって行うというもの。オジャママンのアターシャチームはいつものお仕置きだが、オタスケマンのヒカルとナナはデート気分で楽しくやっているといった具合。ちなみに彼らが所属しているタイムパトロール隊長官の声はドクロベー様と同じ滝口順平氏でもある。ちなみに冒頭のオジャママンの受ける指令をオタスケマンのサポートロボが傍受する形で後の対戦にこぎつけるのだ。
そしてそれらがヤットデタマン、イッパツマンにて大巨人とのコントや屋台コントに通じたかなということで。