スーパー戦隊レビュー(その3)

電磁戦隊メガレンジャー(97年)
この年に放映された『電磁戦隊メガレンジャー』は、やはり90年代初頭からのパソコンや携帯やらの普及を受けて電子(電磁)機器をモチーフとした能力を駆使して、ネジレ次元の侵略から現実世界を守る5人の高校生を主人公としたドラマ、だったのだが。
学園ものの舞台設定と異次元の敵組織と支配者の悪の科学者。このあたりから形骸化の陰が見え隠れしているなと編者としても思わざるを得ないけれど、もう一つのファクターたる敵の戦隊チームは一応ありだとは思うけれど。更には話を進めるうちに戦いに巻き込まれた本来仲間であるはずのクラスメイトから爪弾きにされるなど、戦隊チームの主人公たちの苦悩も描かれているのも本作の特徴でもある。少しネタバレながらも最後は和解して卒業式にも臨んだのだけれど。
敵は電脳世界のねじれが生じた邪電王国ネジレシア、その首領がDr.ヒネラーで、彼のもとで、もとは人間だった彼の娘を改造したシボレナと電脳アンドロイドのユガンデ等の幹部をはじめ、主力兵器怪人のネジレ獣を率いて現実世界を征服せんと暗躍するのだ。
そのヒネラーたちの上にさらなる支配者が存在してるがこれはあくまでも形式上なものだろう。もともとが人間の不の感情の体現だったこの組織。あるいはこの孤独な科学者の妄想と怨念が作り出したものだろうかは今はどうとも言えないけれど。

ともかくもメガレンジャーの戦いはある意味現代文明の光と影をも体現しているのではないかということで。


 星獣戦隊ギンガマン(98年)
98年に放映された『星獣戦隊ギンガマン』は前々回のカーレンジャーよろしく子供向けを目指した作品でもあった。
地球を征服せんとする宇宙海賊組織バルバン。それに立ち向かうべく立ち上がったのが宇宙の平和を守ってきた星獣の力を得たギンガマンの戦士たちであった。
彼らギンガマンはバルバンと戦うのと同じく子供たちに正しい心を教えるべく大活躍するのだ。
彼らの戦いはともかく、彼らが駆る星獣たちは、普段は石像型だが、ロボット型から合体し巨大ロボットの化して戦うといった、これもある程度子供向けの展開となっているかもしれない。
敵の宇宙海賊バルバンは宇宙征服の野望とともに彼らが擁する大魔獣を完全体にするべく地球各地を荒らしまわるのだ。ことに首領のゼイハブはたしかに海賊の親分らしい物言いだけど、声の柴田秀勝氏の名演でかえって風格が醸し出されたことも挙げたい。
今作の追加キャラとしての黒騎士は、従来シリーズにおけるブラックの位置付けとも読めるが、前々作のシグナルマンと同じ仲間ヒーローともいえる。時に反目し、いざとなれば力を合わせ敵に立ち向かう様が共感を生んだことだろう。
ともかくもギンガマンはある程度の子供を中心に楽しむことができる作品作りを目指した点において評価が得られた作品でもあった。

救急戦隊ゴーゴーファイブ(99年)
99年に放映された『救急戦隊ゴーゴーファイブ』
年号の99年と救急をかけて、これまた語呂がいいゴーゴーをかけてのタイトルだということで。そういえば82年のゴーグルファイブのタイトル案から取ったものであることはウンチクということで。
本来は世界中で起こる災害から人々を守る救急チームだが、宇宙の果てから現れた災厄を司る災魔との闘うというストーリーということで、元来災害と災厄とは似て大いに異なると述べることにして。そもそもが災厄や災害から人々を救うというコンセプトは戦隊になっても変わりはなく、敵の災魔との戦いはそのついでだろうけれど。
もとは江戸の火消しをルーツとする家系から連なったことで、これがいにしえの退魔の儀を司る家系だろうけれど、それが近代科学を取り入れての戦隊チームなのだろう。
敵の災魔一族も戦隊と同じく幹部が兄弟、つまりは一族同士の戦いでもあるのだが。
ともかくも放映された99年といえば、現実の世界でも大災害が起こるだろうといったいにしえの予言を待たずに、その前の大震災を受けて、お茶の間を中心に防災について考えるようになってのご時世が生んだ作品であるのかもしれない。