キャラストーリーの形骸化
もともとのベースとなる全体ストーリーは、確かにアッシュを中心に、封印を解かれたオロチの力を狙う“遥けし彼の地の者”の暗躍と、ぶっちゃけ言えばオロチ編の補完とも言えなくもないが。
とまあ、全体ストーリーに関しては申し分はないのだが、問題はキャラクター個々のストーリーに関してである。
まずシリーズの主人公と位置づけているアッシュ、それに関連し、オロチの封印に関わっている京と庵、もはや事実上影の主役的な存在になっている怒チーム、そして“R”の子供(だろう)アーデルハイドとローズの兄妹と、それらの面々はそれなりにストーリーとからんでいるのだが、その他のメンバーに関してはただ参加している感が強い。
以前のオロチ編ではほとんどのキャラが何らかの形でストーリーに関わっているのだが。
例えば、餓狼においては、山崎竜二が実はオロチ八傑集の一人であったこと、龍虎ではタクマがハイデルンや草薙柴舟と知人であったことが挙げられる。
ちなみにもう一つ、サイコソルジャーチームに関して、97にて鎮元斎が言うには、オロチ一族の暗躍は「来るべき闘いの前のみょーな争い」だとか。ところが今に至って、アッシュたちの騒動そっちのけで飛賊の(元)長、龍に付け狙われる羽目となる始末。さてその飛賊についてだが、今はデュオロンが出場しているものの、もともと出場していた麟はどうしたのだろうか。それについて僕自身の推察はあるのだが、この時点ではちょっと差し控えさせていただくということで、また次の機会に。
あと加えて京と庵について一言言いたい、はっきり言って強引に過ぎる。確かにエンディングではアッシュが八神の力を奪うことて一応の結末になったことに納まっただろうけど、それだったらあえて真吾を抜かせて京と庵をフリーキャラにした方がよっぽど無理のないと思うのだが
香澄(アンチ極限流チーム)の行方
やはり取り上げねばならないのは彼らのことだろう。確かに香澄は5年ぶりのKOF出場(SVCを除いて)。サイトとしてもそれなりに盛り上がったことだろう。
しかしながら・・・・・、
まずチーム構成、まりんについては、結局のところ03から素性が分からなかったが]Tでもやはり分からずじまい。
影二については香澄と組むことについてちょっと頭をひねらざるを得ない。もともと龍虎2において初登場した彼だが、それと入れ替わりに藤堂(一人だけ)が削除されてしまった、いわばある意味父の仇でもあるのだが。
次にストーリーについて、まずオープニング。チームのメインは影二が取り仕切っている。それ自体に僕的にはそんなに言うべきことはないのだが。
あとまりんの出場理由である「ユリに自分のスタイルにケチを付けられた」というのはやはり弱いと思う。
それにもう一つ、チームEDについても取り上げたい。結局は龍虎チームとのクロスオーバーなのだが、その内容は惨憺たるものである。影二、まりんはともかく、香澄のセリフ回しについてやはり「泣きたくなる」と漏らした人が少なくないとか。
超えられない40人の壁
まず断っておきたいのは、キャラクターの数というものは多ければいいものではないし、ゲーム制作というものも一定のコストがかかる。これらは僕自身も十分に承知している。
しかしながら、いや、だからこそそれらをも踏まえて次の事項を挙げたいと思う。
どうも最近のKOFの出場キャラの数が2000から頭打ちになっている感が強い。それでもネスツ編、01まではストーリーが整っているのでそれほど問題となっていないと思うのだが。
問題はます02、98同様ドリームマッチと銘打っているにもかかわらずのキャラ構成について取捨選択が激しいし、03は新シリーズということもあって、キャラ数減少の憂き目に会ったし、
さらにはせっかくハードがネオジオからアトミスへと移行したのにネオウェイブ、コロシアム、そして]Tと、やはり40人前後となっている。
しかしながら]TはPS2において数人かキャラクターを追加されているがこれはやはりPS2の媒体が成せるが故のことだろう。とはいえ、ファンサービスであることには変わりはないのだが。
やはりまさかとは思うが、アトミスの容量スペックはネオジオとさほどは変わってはないのだろうか。
どっちつかずのキャラ構成
前述に関連しての弊害として、やはり出場キャラの調整だろう。すべてを挙げるのはやはりきりがないのでアッシュ編を中心に述べたいと思う。
まず削除されたキャラを中心に
・レオナ:封印を解かれたオロチの血により体調を崩した
・舞:何故か強引にアンディを旅行に連れて行った(それでもPS2で復活したが)
・ちづる:アッシュに八咫の力を奪われ、負傷のために出場できず
・雛子、ビリー、山崎:不明
こうも建前を並べていたけど、本音としては容量の都合というのであろう。その極が2000においてウィップを通じて当時のスタッフの本音を吐かせたことも関係しているかも。
あと、レオナ、ちづるに関してはオフィシャルに関してはいいものの、エンディングに関してフォローアップが成されていないのも僕的にはやはりイタイ。
次に入れ替わりの新キャラについて、エリザベートの場合は、アッシュと関連するキャラということでまだ分かりやすいが、問題はオズワルドと桃子、前者はアッシュにとってただ数合わせのキャラという感が強い。それは03のデュオロンも同様だろうが、まあシェンだったら次回もアッシュと組むとは思うけれど。後者に関してはまあ新しいサイコソルジャーということだけど、チームのEDにおいて龍を絡めたならば、本当なら包を入れるべきであるのではないか。なぜなら01のEDで拳崇の力の覚醒には包も一枚かんでいたのだから。
とまあ、彼らに関してはここまでにしておいて、問題は隠しキャラとしてのハヤテ、ジャズウ、ガイ、ズィルバーの4人である。まず今作において彼らを登場させた脈絡というのが分からない。まあスタッフが“夢の対戦”というコンセプトに従って彼らを出場させたのならまだ分かるのだが。
しかしながら、そもそも格ゲーの隠しキャラというのはデフォルトキャラとは別の追加キャラという位置づけになっているというのに、]Tにおいてはデフォルトの容量を食ってしまうというのはそれこそ本末転倒である。
それでも評価できる点もある。とくにガイとズィルバー、もともと彼らが登場した『武力』は操作方法は特殊なものの、いわゆる『バーチャ・鉄拳系』の格ゲーであり、彼らを登場させたことは、この]Tにおいて『バーチャ・鉄拳系』のキャラを2D系格ゲーに出場させたらどうなるか。というインスピレーションを与えてくれたことか。
イタすぎるラストボスたち
お次はやはり最近のラストボスに関して言わねばならない。
とはいえ、僕的にはデフォルトキャラ戦、中ボス戦は多少すんなりと闘えるし、この時分では禍忌攻略もだいぶ進んでいると思うのだが、それでも苦戦しているという声もまだまだ聞こえてくる。
まず参考のために以前の作品について、たとえば、旧SNKの“KOF94”“95”あたりは「難しい」といっても、それはCPUの反応が起因するものがあり、それが“KOF96”あたりでその反応が緩くなったと思うが。
ともかくもそのような状態が各作品の程度こそあれ旧SNK倒産まで続いた感があった。
ところがである、旧SNKからプレイモアに移行してから、ラストボスの難易度がグッと上がったと感じるのは僕だけではないはずである。
まず01のゼロとイグニス、共通して言えるのはパワーゲージなし、つまりは超必使い放題であること、しかもその超必について、ゼロのについては後で述べるにして、イグニスのブルーダルゴッドプロジェクトはほぼ全体力を奪えてしまうのだ。
02のルガールについてはまだ分かりやすいので除外。
03の無界は言うならばオロチやゲーニッツをとてつもなく硬くしたという印象が強い。しかもゲームシステムの移行で試行錯誤もあっただろうが、体力と耐久力が単純に3倍というのが少しイタイ。
そして]Tの禍忌はあのいやらしい攻撃そのものが僕はイタいのだが・・・・・。
とはいえ、以前自己紹介で僕自身格ゲーの腕が落ちてきた感があるというのを認めているし、キャラによっては、またプレイヤーの腕次第で楽勝だという場合もあるかもしれない。
あるいはアルカディアのムックで、禍忌の超必ユニバースディストネーションに対して“あきらめろ”という意見にカチンときたかもしれない。
確かに全体攻撃系の超必として挙げられるのは97オロチの超必とゼロの白羅滅精だろう、オロチと2000のゼロのはまだ削りもそこそこでちゃんと対処していればそんなに苦はないかもしれない。
問題は01のゼロで、ストライカーの龍との連携で結局はまともに受けてしまう。やはり禍忌と違う意味で超必出されれば負けという事態になりかねない。
まあ結局僕が言いたいのは、初代餓狼から約15年、その間に次々と格ゲーデビューした子供たちもいたことだろうし、昨今格ゲーが下火になってきたという声も聞こえていたようだけど、いきなり難易度の高いゲームに辟易としたかもしれない。そんなこともあるから、これからデビューしてくる子供たちの事を考えてむやみに敷居だけ高くし続けるのはどうかと思うことである。
(まあその意味でもMI2のジヴァートマは考えているのかなと思うのだが)
今後の要望〜というか僕のワガママ
さて僕自身、いろいろと批評、批判を述べさせてもらったが、やはりこれからどうすればよいか、今後の対策を私見を交えてではあるが述べなければならない。
大まかに述べるならば次の2つではあるが、
・新しいハード
先に指摘した容量スペックの問題において、現時点でアトミスに期待がおけないのであれば、やはり新ハードを投入するのも手だと思う。
まあそれでもネックは容量なもので、2D形式で単純に計算すれば最高でも1ギガバイトをめどに制作すれば何とかなると思う。
・ナムコに学べ
ここはやはりナムコの格ゲー2作品を、まあ毛色は違うとは思いつつも例示して述べることにする。
まず鉄拳5から。前作の鉄拳4において、セガのバーチャとのコラボを考えていたのだろうが、それゆえリアル路線にこだわりすぎたからか、そんなに大ヒットにはいたらなかったとか。そこでその反省から5が創られた。JACKをはじめほとんどのキャラの復活やら中ボスのデビル仁やラストボスの仁八やらと世界観の概ねの復活や、バーチャの二番煎じながらTEKKENN−NETを展開したのが高評価を得たのだろう。
またソウルキャリバー3に関してもやはり述べるべきだろう。これははじめコンシューマー版で制作されたこともあって今まで登場したキャラが総出演したのをはじめ、コンシューマーならではのオリジナル要素満載のゲーム作品として充実していた。
後にアーケード版が開発されたが、それも結局ファンの要望によるものだということもやはり挙げたい。
比べてしまうのもやはり酷かもしれないけれどあえて言わせてもらうならば、ひるがえってMI2はやはりゲームストーリーの中途半端さが目についた、ワイルドウルフなどのいわゆるアナザーキャラは別にして、ゲームストーリーがあるのはデフォルトキャラだけだということ、そのデフォルトキャラにしてもステージ進行が一貫しないというところを挙げたい(たとえばセスのライバル戦となるべきソワレとの対峙をEDに持ってしまったことが)。
やはりここはMI3を制作するよりもまず、2の追加キャラ、ストーリー版を創るか、あるいは三番煎じになるかもしれないがあえてストーリーデモを除いてアーケード版を創るのも手かもしれない。もちろんステージ進行の面を見直してから作ってほしいのだが。
とまあ話がずれたが、]Tに話を戻して、つまりは本当の意味でプレイヤーの声を反映できるゲーム作りを行ってほしいということ。さて具体的にはどうすればいいか? まあ極端な話、カプコンやナムコからスタッフを派遣してもらい彼らからゲーム作りのアドバイスをもらうのも一つの手だと愚考するのだが。
とまあ、いろいろといいたいことを述べたのだが、これに対しては当時多くの反発を受け、自分勝手と非難も受けた。まあそれでも当時のやりきれない気持ちをぶつけてみたことには後悔はない。
まあそれでも、プレモアさんもプレモアさんなりに反省はしてくれたかなという動きも見せてはくれているのだけど、MIはアーケード版を出してくれたし(それでも結構問題も多いが)、その続編では大幅なキャラ増量を示唆していたし、KOF98はこれまでの総集編的な要素として再編集を行われたしと。
まあとにかくこれから発表されるKOF]Uについてもある意味プレモアさんが真によい意味でのSNKの後継者となるか否かの最後のチャンかもしれない。
、最後に僕がお世話になっている格ゲー創作サイト“何心の道”のナニコロ氏のレビューのシメの文を要約しつつお送りして本文のシメとさせていただくことにする。
今でも格ゲーが好きで、支持してくれるユーザーさんがいるわけです。
今、諦めて、また一時の酷く悪い時に戻せば、それこそどんどん悪い方向に落ちていくだけです。せめて、ありがとうの一言ぐらい、それはともあれ、
今居るファンを大切にし、クリオティが高いもの、あるいはちゃんとした物を作っていけば、少しずつでも巻き返していくんじゃないかな、と。
ここで諦めれば元の木阿弥。今が踏ん張り時です!
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