銀河英雄伝説
概要 |
言わずと知れた田中芳樹先生の描いたスペースオペラ小説。銀河系宇宙に進出した人類が一人の英雄が建てた銀河帝国と、その圧政から逃れた共和制国家・自由惑星同盟との永きにわたる戦乱をそれぞれの国から登場した2人の英雄の戦いを通じて収めていくとう話で、まあスペースオペラと銘打ちながらも中世ヨーロッパの戦乱をモチーフにしているのかなという感をしているのだが。 それが80年代後半になって劇場化、続いてOVA化とあいなった。実は編者もそのアニメから入った一人ではあるが。 その第1期の成功を受け、第2期以降も順次制作されたが、それ以来オリジナルの要素は抑えられ、原作に沿った作風に落ち着いてきた。しかも物語そのものにおいてのナレーションの割合が増えたのも特色といえる。 あと外伝もある程度制作されたのだけど、それも物語の補完を十分に果たしたこと、まあそれにつけてもこれはどうでもいいことだけれども、外伝1巻に掲載されながらもアニメ化されなかったいわゆる“ゴールデンバウム王朝記”なるエピソードを、第3期59話のエピソードを前編として、本記事にて中、後編に分けてお送りしましょう。 |
オリジナル外伝:ゴールデンバウム王朝記(中編) |
開祖ルドルフ大帝より始まったゴールデンバウム王朝は数多くの善悪美醜の物語を生んだ。 ユリウスの皇太曾孫であり皇位継承者であるカールを追い落とし、帝位についたジキスムント2世は、これまでの国政の要職についていた三人の大臣を解任し、自らの腹心をその後任にあてた。 改革は次のアウグスト1世に委ねられた。彼は先代の施政を継ぎ帝国の安定に力を注いだ。 やがてアウグスト2世が帝位につき、帝国は暗黒の時代へと陥った。 開戦に先立ち、エーリッヒは討伐艦隊に対し通信を送る。 一方、帝都オーディンにてはアウグストのもとに腹心シャンバーグ准将が駆けつけた。 こうして帝都オーディンへ凱旋したエーリッヒは、新皇帝に即位した。それからの彼はこれといって目立った政治を行ったわけではないが、アウグスト2世の暴政を一掃し、帝国の安定を取り戻した功績により『止血帝』という贈り名を与えられた。 |
オリジナル外伝:ゴールデンバウム王朝記(後編) |
ゴールデンバウンム王朝、36代、約500年の歴史を重ねてきた理由の一つに、はからずに生み出された権力の移譲における絶妙の配列にあっただろう。歴代の皇帝の中にはジキスムント痴愚帝やアウグスト流血帝などの暗君暴君などが君臨したが、それらの悪政は次代の善政によって改善される。むろんその根底にはゴールデンバウム家という一血族による権力独占とそれに伴う社会構造全体の不公正という根本的な欠陥があるのだが。 ともあれ、悪政による汚濁が極まれば、その後の善政によって澄み渡り、社会全体も何とか破綻をきたさずに済んだのであった。 ある時、帝国辺境部の難所と目された宙域を帝国軍戦艦が通過した時に、同じく国境地域を警戒にあたっていた同盟軍戦艦と遭遇した。 敗戦後、帝国ではその責を問う形での粛清劇をはじめとする凄惨な宮廷闘争が繰り広げられた。フリードリヒ3世が心労により死去したのち、マクシミリアン=ヨーゼフ1世、グスタフと帝位が引き継がれたが、いずれも急死し、特にグスタフは3月弱の在位から『百日帝』という不名誉な称号を得るに至る。 こうして帝国内の混乱は収まり、次代のコルネリアス1世の治世にほぼ安定を取り戻した。こうして国内の一応の安定を受け、コルネリアスは最大の外敵にして、今や帝国の不満分子を大量に受け入れ、その勢力は帝国に匹敵する自由惑星同盟と僭称する叛乱勢力を討伐に乗り出す。 この宮廷クーデターよりしばらくした後、フェザーン自治領の成立が相成ったが、後世、当時は一つの事件として処理されたこのクーデターはかつてのフェザーン成立前の商人レオポルド=ラープ、そして地球教徒が糸を引いていたという事項は数多くの研究から導き出されたことはあえて語るまでもないだろう。 元自由惑星同盟軍少尉・銀河帝国民生次官 フランツ=ヴァーリモント著『銀河大戦記・前編』より |
オリジナル外伝:ヴァーリモント氏放浪記 |
アムリッツァ星域会戦に先立つ焦土作戦により、占領した惑星を追われ、辺境星域に逃げ延びた自由惑星同盟技術少尉フランツ=ヴァーリモントは、初めは素性を隠し日々の労働に従事していた。 |