ているず・おぶ・じ・あにす!
TALES OF THE ABYSS Second Story

この記事は2005年に発売された
TALES OF THE ABYSSの純粋な続編として
編者なりに構想を練り、形にした作品です。
原作から数年後、成長したアニスを主人公に、人類全体の存亡と存在意義をかけ戦い抜く
アニスの姿を通じ、人類や世界の生まれてきた意味を見出すストーリーを
お楽しみください。

第1章:聖獣の森の少女

アニス=タトリン
ローレライ教団の騎士団を辞めて各地の諸事件に対応する、いわゆる『なんでも屋』の稼業を始める。
かつての戦乱から数年後、折しも世界は徐々にではあるがスコアに頼らず自らの意思で生きていこうとする動きが出てきた。そんな人々をサポートするべく各国を筆頭に、アニスも個人的かつ有料ではあるが働きかけていたのだ。
さらには世界そのものも外郭の降下とともに惑星運行に関する時間の概念も大きく変わったことも忘れ去らざる事項でもあった。
そんなある日、雑用をこなしつつも各地の諸問題を解決した後に、聖獣の街にて作物の盗難事件が起き、その解決を依頼される。
件の聖獣の森に赴くアニス、そこは近隣にルークが大規模な農場を開墾し、そこでは豊富な作物が生産されている一大農園地帯と成長した。これははじめ、先の戦乱に先立ちマルクト領に飛ばされた際、無断で作物を食べた罪滅ぼしから始まったことであるのだが、今やこの街の中興の祖と祭り上げられてもいた。さておき盗み食いの獣の件は当時ならいざ知らず最近ではささやかな事項でもあるのだが、それでも仕事は仕事。かつての聖獣の森が怪しいと踏んでその森に赴くアニス。そこで作物を盗み食いをした聖獣の子供と出くわす。その聖獣にどこか懐かしい感じを覚え、襲ってきた聖獣の攻撃を受け止めつつ、その敵意をそぐ。
こうして確保した聖獣の子供はかつての親友の名から“アリエッタ”と名付け、フローリアンに預けることにした。
最近のフローリアン、今やイオンと名乗っている彼も、当初の無垢なイメージに合わせ、ある程度の思慮深さを帯びてきた。実は何らかの事象でオリジナルを含めて多くのレプリカの思考をも受け継いでいて、彼自身もそれを受け入れ、この世界のために活かそうと決めていたのだ。そしてそれを支えようとするアニス、そしてもう一頭、フローリアンの守護が誕生したのだ。
「今度こそ、フローリアンを、イオンをしっかり守るんだよ、アリエッタ」
そんな二人を見守りつつも、ダアトを後にするアニス。手を振るフローリアン、アリエッタも名残惜しそうに軽く咆哮するのだった。

第1章補足:正悟師サフィールの憂鬱

ある程度の任務と依頼をこなしていく中、ダアト郊外にある孤児院を訪れた。ここは先の戦乱や災害で親を失った子供たちを預かり育成していく施設である。かくいうアニスも時折仕事の報酬等をここに寄付していたのだ。今回もそのために訪れたのだが。
そこには子供たちが元気に遊び回っていた。その中で子供たちを親身に世話している一人の男がいた。アニスはその男を知っている。否、彼こそがかつてのオラクル六神将の一人にして最後の生き残り“死神ディスト”今やジェイドに洗脳され、今や教団の正悟師としてこの孤児院の経営を任されている。
かつては敵として戦い合った仲だが、今はそんなことがなかったかのごとくアニスも親しく語り合う。
実はサフィールの洗脳の事情についてアニスは知っていたのだ。一概に洗脳といっているが、あの戦乱の後ジェイドが廃人同然となっていたディストを、自分が知りうる幼きサフィールの人格を刷り込み、今の人格と成したのだ。
ともかくも今のサフィールと子供たちの生活がいつまでも続くことを願っているアニスだった。一抹の不安を抱えながら。
ところがその不安が顕現化しえる事件が、ある程度の仕事をこなした後で起こったのだ。子供たちが身代金目的で幾人かがさらわれたのだ。
犯人はオラクル騎士団の残党の中で特に素行が悪く、そのままゴロツキ化した輩だった。子供たちをさらわれ不安いっぱいのサフィールに、アニスはひとまず安心させて、かつかんでつぶすように諭してから犯人が立てこもるという山の洞窟に向かう。途中“漆黒の翼”から教えられた隠し扉を見付け、そこに仕掛けられた罠等をかいくぐりつつ、子供たちが檻に閉じ込められている賊のアジトにたどり着く。
しかしそこに待ち構えていたのはその盗賊たちは人造のモンスターを数体従えていた。手下やモンスター1体くらいはなんとか倒すことができたが、それが数体も現れてしまったならばさしものアニスも対しきれない。あわや絶体絶命となったアニスだったが。そこに現れたのが意外な人物だった。宙に浮く椅子に腰を掛ける黒服の男、何とオラクル六神将のディストだった。アニスの危惧が一気に顕れた、かにみえたが。
「我が名は“死神”ディスト。さてどんな死に方がお望みですか」
ディストの言に多少の安堵が芽生えつつあることを感じたアニス。かつての彼なら自ら“死神”とは名乗らず、むしろ“薔薇の”と名乗るはずなのだった。
そんなディストはモンスターたちを引き裂き、山賊たちを黒い気でなぎ倒す〜ともあれ実際命を奪うまでもなく、気を失わせるのみだとアニスをはじめ子供たちも理解していた。
やがて山賊を全滅させ、子供たちも解放された。ディストに近付こうとする子供たちだが。
「サフィール、先生・・・・・」
「あ、ちょっと・・・・・」とアニスも子供たちを止めようとしたのだが。
「待ちなさい、今のわたしには近付いてはいけません。あなた方のサフィール先生はすぐに帰ってきます。それまで家に帰って待っていなさい。あと“漆黒の翼”のみなさん、この子たちのことを頼みますよ」
子供たちもその言葉に従い、いつの間にか駆けつけてきた“漆黒の翼”たちに付き添われこの場を去っていった。
残されたアニスとディスト。かつての“彼”とは違うと確信したアニスは改めてその真意を問う。
「この姿はたしかにディストだけど、やっぱりサフィールで、いいよね」
「言ったはずですよ、今のわたしはディストだと、たしかに子供たちを助けるため、力を振るうには“彼”を借りねばなりませんでした」
「やはり、蘇った記憶を、受け継いでいるんだ」
「たしかに初めは悩みました。ですが“彼”を捨てきれないのなら、受け入れて生きるもよいでしょう。いずれにせよ、むざむざと堕ちませんよ」
と、ディストもこの場を去ろうとする。その後さり気なくサフィールに戻るのだ。その際にアニスに言葉をかける。
「あとそれから、ジェイドには感謝していますよ。それじゃ」
去りゆく彼を見送りつつ、アニスはふと想う。
「ルークと同じように、サフィールもまたディストを受け入れているんだ」
こうして孤児誘拐事件は多少の騒動もあれ無事解決された。そして後の“天と地の邂逅”においても彼の力を借りることもあるだろう。

第2章:辺境の地の少女

引き続き仕事を探そうとマルクト帝都を訪れるも、ピオニー皇帝は不在で彼に成り代わり皇后が対応する。
軍人出身の彼女は、ルークが最近国境地区の開拓に従事していると告げる。代わりにキムラスカより招請の命を受けているのでアニスにも迎えに赴くべしとの達しがあった。
恐らくナタリアから発せられたものだろうと勘繰りながらもひとまず辺境の開拓地へと赴く。
その辺境の地はかつての戦乱で住む家を失った者や職を失った者たち、特にスコアに頼ることが出来なくなり生きる意味を失いかけたものの救済を最優先の目的にキムラスカ、マルクト両国が共同で行われた事業でもある。そこの最高責任者としてルークが自ら志願して赴任されていたのだ。
今日も率先してルークが労働にいそしんでいて、それに倣って多くの作業員が働いている。
やがて休憩時間にさしかかり、部下がアニスの来訪を告げる。

久しぶりにルークと対面し、変わった部分、そして変わらない部分とを感慨とともに確かめるアニスだった。
今のルークはオリジナルのルーク、つまりはアッシュの身体をベースに、いわばルーク、とアッシュの記憶を共有し、まさに生まれ変わった自分を受け入れていたのだ。
「今の俺はルークでもアッシュでもない。俺は、俺さ」とうそぶきつつ、公式にはキムラスカ子爵閣下として大小の公共の仕事に従事していたのだ。
アニスもルークとの会話を楽しんだ後で、本国招請の旨を伝える。

帰還の際にとある隊列にルークは感慨する。それは要人警護の隊列である『インペリアル・セクスタント』だった。
「『インペリアル・トライアングル』か・・・・・」とこぼし、側近の少年も改めて説明しつつルークの感慨に応えるのだった。
あの時の未熟なルークだった自分を懐かしみつつ陣形の真ん中にての歩みを進めるルーク。しかし突然天空からの光に包まれ、ルークは天空に吸い込まれる。すかさずアニスは引き留めようとするも、光の柱にはじかれて成す術がないままルークを見守るしかなかった。

第3章:連れ去られた子爵閣下

ルーク子爵閣下捕わる、凶報はオールドラント全土に伝わる。それを受けてキムラスカ・マルクト両国は対策本部を設立し、天空からの光の正体の分析に躍起になる。
そんな中、永らく隠棲生活を送っていたジェイドが姿を現した。彼はユリアシティにおいて秘められた歴史を調べ恐るべき秘密をもたらそうとした。
そんな折、天空から謎の人影が地上のすべての地に姿をあらわす。人影は地上の人間を“クローン”と呼び、終始高圧的な物言いで地上に対し宣戦を布告する。
続いて確保されたルークが続いて姿を現し、現在の地上の人々が天空の人間に創られた人造人間の子孫であることを告げる。
そもそもこの世界はかつては一度戦争や災害で滅び、人々はその荒廃した世界を捨てて天空の彼方に去っていった。それが彼ら天空人の先祖であった。その際に荒廃した世界を再生するため自分たちに似せた“クローン”を創り出し、その制御のためにユリアシティというコントロール施設を築き“クローン”の復興プログラムである“スコア”を組み込んだ。
そして復興した世界に自分たちが再臨するために役目を終えた“クローン”たちが自然消滅するために組み込んだのが、惑星預言であったのだ。
最後にルークは、自分に構わずみんなが生き残る術を考えてくれと告げ、通信が切れる。それとともにジェイドが、自分が伝えたかったのは、先にルークが告げたこととほぼ同じだと告げる。
ともかくも地上の人類も自ら生き続けるためにこの世界を守らなければならない。まずはルークを助けるべく精鋭部隊が編成された。その中にはもちろんアニスの姿があった。

一方幽閉中のルークのもと、とある人物が訪れた。その人物にルークはある程度の感慨を込めて応える。
「やはりあんたも還ってきたか、ヴァン」

第4章:戻ってきたあの男

ルーク救出のための先遣隊として派遣されることとなったアニス。事態を受け、今や子爵夫人としてバチカルの王宮務めとなったティアが駆け付けてきた。彼女にはルークとの新たな命を宿していたのだ。そんなティアをアニスは気遣おうとするも逆にはげまされたりもする。彼女の強さをかみしめつつアニスは再び旅立っていく。
そして今一人、先にルークの護衛の任をついたあの少年、かつてアクゼリュス出身の彼に、かつての惨劇と併せて複雑な覆いをよぎらせる。
ともかくも先遣隊は新造された宇宙船で天空へと発つ。

一方でルークとヴァンは穏やかに旧交を暖めるかのごとく状況を語り合う。
くり返しながらもそもそも現行人類は天空の民によって作られた“クローン”と呼ばれる人造人間の末裔であって、現行の大地は彼らは“アビス”と呼んでいたのだ。
自分たちが“スコア”に従って大地:アビスをある程度復興し、やがては天空の民のために自滅するはずだった。今までそのプログラム通りに事が運んだはずだったが、クローンのコピーに過ぎなかったルーク、そしてヴァンによって全ての計画が頓挫してしまったのだ。
この事態を重く受け止めた天空の民は混乱に陥り、現行の計画通り地上の人類(クローン)を地上(アビス)もろとも滅ぼし、自分たちの新しい世界を作ろうとするものと、クローンを自らの同志とみなして彼らとともに新たなる世界を築こうとする者とに分かれた。それはスコアに頼れなくなった状況とよく似ていた。
そんな折、一人の女性が現れた。彼女はこの天空界(コロニー)を統治する神官の一人で、数少ない地上人との共存をとなえていた。
そもそもクローンたち、まずオリジナルより創り出された世代はオリジナルの影響を受け、たとえばオリジナルが死んだらクローンもまた消滅するのだ。
しかしその次の世代、クローン同士の交配によって産み出された世代はオリジナルとの関連が薄まり、独自の個体として世代を重ねてきたのだ。ちなみにレプリカの技術もクローン技術に近いものだったのだ。
そのうえで女神官アッシャーは衰退の一途をたどる自分たち天空人が、不完全ながらも独立した一個体となった地上人との融合を望むと告げる。
そこにもう一人の神官アティルト配下の兵が現れ、彼女を拘束せんとするのだ。
さらにはコロニーに到着したアニスたちが護衛と交戦状態に陥っていた。

第5章:天と地の邂逅

コロニーに到着し交戦するアニスたち。しかしその様子はコロニー中枢に察知されていた。神官アティルトに事情を尋ねる一人の高貴そうな少年。心配ないと半ば強引になだめるアティルトに、つまらなさそうにうなづきつつ少年は部屋を後にする。その後で改めて侵入者を排除するよう指示するアティルトだったが。
一方アニスたち地上軍はよくよく敵を退けていた。アニスの実力はともかく、敵を翻弄するディストことサフィール。そして多少ぎこちないながらも着実に敵を斬り払う少年、実は先の事件の後、帝国の元老院議員の席を授けられつつ隠遁生活を送るガイに業を教えられたのだ。
そんな面々がルーク救出のために突き進んでいくのだ。
一方でルークたち、半ば監禁されている彼らの元、何とあの少年が訪れた。気高くも幼い口調の彼に「まるで昔の俺だな」と感慨を述べると少年は「そなたは魂を二つも持っているのか」と返して問う。
「あの時から俺の体は俺自身のものじゃないからな」その言葉の意味を知ってか知らずか、その少年、天界の皇子ブリアーも一応の同意をする。
ブリアーはふと話題を変え、神官アッシャーの居所を監視の兵士に問う。兵士が答えに窮しかけた時、進入したアニス一行が部屋に飛び込んできたのだ。
「大丈夫、ルーク」とアニスの問いに「俺は大丈夫」と返すルーク。
続いて少年も「大丈夫ですか、閣下」との問いかけに、「ああ、大丈夫だ、お前に討たれるまでは、俺は死なない」と返す。
「いえ、閣下は一度お隠れになり、そして再びお生まれになりました。そんな閣下を、僕も守っていきたいのです」と少年は先の因縁をほのめかすルークを流しつつ応えるのだった。
そこに傍らで座すのみだったヴァンが、おもむろに立ち上がり一つの提案を持ち掛ける。
「さて、役者はそろったところで、みな多少は思うところがあろうが、ここは切り抜けるとするか」
「その前にアッシャーはどうした」とブリアーが監視兵に改めて問う。兵は怯えながらもアティルト配下の兵に捕らえられたと告げる。実はアッシャーはアティルト配下の兵によって別室に軟禁された。ちなみにルークとヴァンも現在軟禁状態でもある。
そこに遅れてアニスはヴァンに問う。
「で、何であんたまでいるのヴァン!?
「俺と同じ理屈さ。もっともヴァンの場合は自分の野望に対する保険だけどな」
と、ルークが代わって応える。
「そして今、諸君らとともに戦うことができるというわけだ、信じられぬとあればそれでもかまわないが」
ともかく今はヴァンの言に従い、ここを脱出するのみだが。
「ここは予も同行いたそう、できればアッシャーを連れていきたいが致し方なかろう」
と皇子もアニスたちと共にすることになった。その際動揺する兵士を一瞥すると、その兵士は静かに倒れていった。
「これも眼力の一つだ、これでも抑えて使ったがそなたたちに対しては耐性もあろうが、それを使わぬことがそなたたちに対する信頼と受け止めて頂こうか」
皇子の恐るべき力に畏れを抱きつつもひとまず彼の案内で脱出行への裏口に向かう一行。こうして転送された先はアビス辺境のユリアシティであった。